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青森山田5発で最北V!高橋 11年浅野以来の5戦連発弾

[ 2017年1月10日 05:30 ]

第95回全国高校サッカー選手権決勝   青森山田5―0前橋育英 ( 2017年1月9日    埼スタ )

<全国高校サッカー選手権決勝>県勢初の優勝を果たし、喜ぶ青森山田イレブン
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 第95回全国高校サッカー選手権決勝が行われ、22度目の出場だった青森山田(青森)が前橋育英(群馬)に5―0で大勝し、青森県勢として初優勝を果たし、高円宮杯U―18チャンピオンシップとの2冠を達成した。前半23分にJ2千葉内定のMF高橋壱晟(3年)が先制点を突き刺し、11年度大会の四日市中央工FW浅野拓磨(22=現シュツットガルト)以来となる5試合連続得点で勝利に貢献。FW鳴海彰人(3年)が大会6ゴールで得点王に輝いた。就任22年目の黒田剛監督(46)は雪国の環境を生かした練習で名門を初の頂点に導いた。

 勝負弱いと言われた面影はどこにもなかった。前半23分、高橋はFW鳴海の右クロスを中央で受けて左足でボレーシュート。強い弾道のボールは相手MFに当たっても勢いそのままにネットを揺らした。11年度の浅野以来の5戦連続ゴールで値千金の先制点。「今まで生きてきた中で一番うれしい」。1年前の準決勝で敗れた時とは違う涙が静かに頬をつたった。

 昔から大舞台が大の苦手だった。小学4年と6年時は全国大会へ出場したが、無得点。青森山田中3年時の中学総体も得点から見放された。点が取れないと自宅の部屋にこもって悔しがった。高校に入学すると、黒田監督から「殻を破れ」と変わることを促された。

 ただ、ボランチゆえ、得点意識が高かったわけではない。転機となったのは高校2年の全国総体2回戦で久御山(京都)に敗戦した時だった。「ただパスをさばいて終わるだけの選手じゃつまらない」。指揮官から無難な姿勢を鋭く指摘され変わることを決意した。

 午前6時からの朝練の前にシュート練習を始めた。3年生になると時間はより早くなり日の出前の5時からボールを蹴った。「練習の中でも倒れそうになるくらいやった」。試合では敵陣と自陣のペナルティーエリア間を「限界を決めないで」走ると決めた。死にものぐるいで努力した自負があったから、準決勝の後に応援メッセージを送ってくれた父の司さん(51)には自信たっぷりに返した。「任せとけ」と。

 「(これまでは)関東や関西の雪のないチームが優勝することが多かった。雪のある自分たちが優勝できるっていうのは、青森県の選手に夢を与えられる」。全国から人が集まる強豪校だが、自身は地元出身。優勝の味は格別だった。

 小学5年の時に柴崎岳(鹿島)が出場した青森山田の決勝をテレビ観戦。同じボランチの先輩は、今でも憧れだ。「どんどん上のステージに行っている。自分もそれに負けないくらい成長していきたい」。卒業後はJ2千葉に加入。高校の最後につかんだかけがえのない自信を手にJの舞台へと羽ばたく。

 ◆高橋 壱晟(たかはし・いっせい)1998年(平10)4月20日、青森県青森市出身の18歳。小学1年時、青森FCでサッカーを始める。青森山田中では12年全国中学サッカー選手権で優勝に貢献。その後、青森山田高に進学。家族は両親と弟。50メートル走は6秒8。目標は日本代表。1メートル80、75キロ。

 ▽青森山田 1918年(大7)創立で中高一貫の私立校。柴崎岳(鹿島)らを輩出したサッカー部以外もスポーツが盛ん。卒業生にテニス男子の錦織圭、卓球女子の福原愛、同男子の水谷隼らトップ選手多数。

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