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久保裕也は「努力が趣味」 A代表で見たい職人気質のストライカー

[ 2015年10月22日 09:50 ]

久保裕也

 10月13日の親善試合イラン戦でMF南野拓実(19=ザルツブルク)がA代表デビューを果たした。ロスタイムを入れて、わずか5分。もう少しプレーを見たかったが、南野の姿を見ながら、ある同年代プレーヤーも早く見てみたい衝動に駆られた。スイス1部ヤングボーイズに所属するFW久保裕也(21)だ。

 先月、某サッカー番組で特集が組まれ、カーテンのない生活やファッションへのこだわりのなさがクローズアップされ、サッカーに全ての情熱を捧げる姿が放送された。ストイックすぎるほどストイックな性格。そこは記者も大きく感銘を受けている部分だ。

 数年前、久保の自宅があるスイス・ベルンを訪れた。部屋に入った時、驚いたのが冷蔵庫や風呂場、トイレなどあちこちに貼られている紙切れだった。そのモノを指した、久保直筆のドイツ語単語だった。さらにリビングに置かれてある小さなテーブルには書きなぐられたドイツ語単語のノートが山積みになっていた。ヤングボーイズ入団当初から通訳を付けず。地力でドイツ語をマスターしないといけなかったが、人知れない苦労の跡を垣間見た。そして、それ以上にその次の言葉は今も忘れていない。

 「オレ、努力するのが趣味ですからね」

 6月、A代表がW杯アジア2次予選を戦っている最中、久保は大阪府内の施設で黙々と汗を流した。今季のテーマとしてランニングの質を高めることを掲げ、追い込んでいた。自分の仕事に集中していた。だからこそ、南野のハリルジャパン召集についても「今、A代表に呼ばれなくても、焦りはない。呼ばざるを得ないくらいに結果を残せば良いですから」と平然と言い切れる。他者ではなく、自分と向き合いながら研さんし続けている久保らしい答えだった。

 今季はリーグ戦3得点3アシスト。先日17日の敵地ファドゥーツ戦では絶妙なヒールパスで2試合連続のアシストを記録した。良い意味で余裕が生まれていると思った。

 自分に厳しく、そして着実に力を付けてきた“職人気質なストライカー”。若干、停滞気味の日本サッカーの新風として、南野だけではなく久保にも大きな期待をしている。(飯間 健)

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2015年10月22日のニュース