×

フロントの“レジェンド”佐藤英男さん 衰えないベテランの目

[ 2015年8月26日 10:30 ]

 Jリーグが93年に10チームで開幕して23年目、J1~J3まで52チームに拡大した。低迷していた日本のサッカーの行く末を案じ、Jリーグ開幕へ向けて尽力した人たちも還暦を超えた人が増えた。その中の1人、読売クラブや浦和レッズのフロントスタッフとして活躍した佐藤英男さんは「あっという間でした」と、振り返った。

 ポルトガル語やスペイン語、英語を流ちょうに話す佐藤さんは、外国人選手や監督の獲得などを担当した。読売クラブではジノ・サニ特別コーチやDFペレイラ、FWアモローゾの獲得に関わり、浦和ではオジェック監督を招へいするなど、フロントのレジェンドと言われた。その後は神戸のGM補佐などを経て、現在は「セニョール佐藤」の名前でサッカージャーナリストとして会員制サイトに「セニョール佐藤のアングル」などのコラムを執筆している。

 衛星放送などで世界中のサッカーをチェックし、選手や監督の動向などには今も詳しい。ブラジルのサッカー関係者に電話したり、つい最近も日本に立ち寄った元神戸MFボッティと食事したばかりだという。

 6~7月の南米選手権はほぼ全試合観戦した。12カ国中6カ国がアルゼンチン人監督。「サンパウロの監督もコロンビア人。南米もボーダレスになっている」と、分析する。「今は南米もアカデミーで組織的な練習をしているから、欧州のクラブに移籍してもなじむのが早い。世界はどんどん変わっている」

 そして、「テクニックなら日本人の方が欧州人より上。でも、自分がやりたいことを表現すること、つまりパーソナリティーが足りない」と、分析する。サッカーで大事なのはパーソナリティー。メッシやC・ロナウド、ネイマールら一流選手は、パーソナリティーがあるから技術を発揮できる。日本では本田や香川、岡崎ぐらいだという。

 日本代表のハリルホジッチ監督もバッサリと切る。「言い訳が多すぎる監督は成功しない。そして、縦に急ぎすぎるサッカーではチームは強くならない。アルジェリア人のような体力があれば別だが…。日本人はきめ細かさが特徴だから、判断力を生かすようなサッカーを指導しないと」。40年以上世界のサッカーを見てきたベテランの目は、全く衰えていない。(大西 純一)

続きを表示

2015年8月26日のニュース