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長谷部“侍ビジョン”提言!ドイツ流改革&日本の武器継続が必要

[ 2014年7月17日 05:30 ]

今季からフランクフルトに移籍する長谷部がドイツへ出発

 W杯ブラジル大会で日本代表主将を務め、今季からドイツ1部フランクフルトに移籍するMF長谷部誠(30)が16日、羽田空港発の航空機でドイツに出発した。サッカー協会と国内リーグが連携して育成、強化に取り組んできたドイツのW杯優勝に感銘を受け、日本協会にも今後、継続して目指すべき強化、育成方針“侍ビジョン”の構築を強く訴えた。

 W杯で主将を務めた長谷部から日本サッカーへの提言だ。失意の帰国後もW杯は全試合、生中継でテレビ観戦を続けた。ひときわ、まぶしく映ったのは圧倒的な強さでW杯を制したドイツだった。6年半にわたってブンデスリーガを主戦場とし、強さの秘密を肌で知るからこそ、日本の未来に生かしたいと考えていた。

 「90年代後半、世界で勝てなくなったドイツは協会とクラブが一体となり、育成に取り組んできた。(12~13年に欧州CLを制した)バイエルンMも今回のドイツ代表も、明確なビジョンを持ってやって結果に結び付けた。そこは見習うべきと思う」と長谷部。W杯惨敗を受け、4年間の取り組みを否定するのは簡単だ。今大会はオランダが攻撃的な理想を諦め、守備的なカウンターに徹して3位に入った。だが、長谷部は技術や連動など日本人らしさを追求したザックジャパンの姿勢は正しかったと信じている。大切なのは一喜一憂することではなく不変的な“侍ビジョン”の構築だ。

 「結果が出ない時、続けるべきと言うのは難しいけど継続も必要だと思う。日本らしさとはやはり技術や連動、組織力。18年のW杯もあるけど4年間というより長い目で見て、日本人の長所が最大限に出せるビジョンを持って取り組むことが大事。ロシア(18年W杯)はその通過点でもいい」

 ドイツでは00年欧州選手権の惨敗を受け、若手育成の改革に着手。毎年1000万ユーロ(約13億8000万円)を投資して各年代の代表を強化。各クラブに育成アカデミーの設立も義務づけた。見習う点は多い。長谷部は「一貫して続けること。そうやって勝者のメンタル、DNAをつくりあげることも必要」と訴える。

 今季は2部降格のニュルンベルクからフランクフルトに移籍。「自分の中で限界をつくらず毎日を大切にしたい」と話した。誕生間近なアギーレジャパンでは主将の座も若手に譲る方針だが、それも日本の将来を考えてのこと。W杯でドイツが示してくれた。明確なビジョンをつくり、屈辱を糧に変えるのは今しかない。

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