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佐々木監督“戦術革命”結実!采配もズバリ

[ 2011年7月19日 06:00 ]

<日本・米国>初優勝を果たし、東日本大震災の被災地に向けたメッセージの書かれた日の丸を掲げ、場内を一周する佐々木監督(左)ら

女子W杯決勝  日本2―2米国(PK3―1)

(7月17日 フランクフルト)
 なでしこジャパンを率いた佐々木則夫監督(53)が、就任4年目にして大輪の花を咲かせた。今まで一度も勝てなかった宿敵・米国を撃破しての世界一。チーム全員と熱い抱擁を交わし、選手と一緒になって跳びはねて喜びを爆発させた指揮官は「僕もびっくり」と照れ笑いしながらも「ちっちゃな娘たちが粘り強くやってくれました」といつにも増して笑顔を爆発させた。

 戦術革命の結実でもあった。それまで日本女子サッカーはサイドに追い込む守備が主流だった。だが、指揮官は欧米チームを徹底的に研究し、中盤の組み立てが緻密さに欠ける傾向にあることを発見。それまでの守備のやり方を一変させた。サイドではなく、真ん中で奪って攻撃に転じる戦術を植え付け、ボランチにはボール奪取能力に優れ、かつ展開力がある沢、阪口を配置した。キーマンに指名したその2人は、今大会でも躍進の原動力だった。

 今大会は采配もさえわたった。支えるのは鋭い観察眼と人心掌握術だ。試合翌日の練習では主に控えの選手を注視し「ちょっとしたしぐさを見逃さず、話し掛けて気持ちを察する」という。「女子は男子より選手同士の嫉妬が強い」と言う宮内聡元監督も「誰か一人を指導すれば他の選手が嫉妬する。彼はその辺の対応がうまいんだ」とその手腕を絶賛する。全選手への細かな気配りとケア。今大会で岩淵、丸山、川澄ら控え選手が次々に活躍したのも必然の流れだった。

 大会前、指揮官は色紙にこう記した。「ドイツでなでしこの花を咲かせましょう」。21人の個性をまとめ上げた佐々木監督が、日本サッカー史に残る快挙で、ドイツの地で一番きれいな色の花を咲かせた。

 ▼大竹七未 佐々木監督のもと世界に通用するサッカーをしっかり構築させ、組織戦術が高かった。DFラインでボールを奪ってからしっかりつなげられた。特に中盤の沢、阪口が良かった。これで日本の女子サッカーが盛り上がり、スポンサーのバックアップなどが増えていってくれればと思います。 (元日本代表FW、東京国際大女子サッカー部監督)

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2011年7月19日のニュース