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世界が称賛「Nadeshiko」魂のサッカー

[ 2011年7月19日 06:00 ]

サッカー女子W杯で米国を破り初優勝を果たした日本の活躍を1面で伝える、フランクフルトの地元紙面

女子W杯決勝  日本2―2米国(PK3―1)

(7月17日 フランクフルト)
 世界のメディアも、なでしこジャパンの快挙を大々的に報道。東日本大震災を乗り越えてたどり着いたサクセスストーリーは海外の多くの記者の心を捉えた。2度も追いついてPK戦の末に強豪・米国を退けたドラマチックな決勝戦。サッカーを超えた感動がそこにあった。

 AP通信のN・アーマー記者が書いた本文の冒頭は印象的だった。

 「日本の長引く悲劇の真っ最中であることを考えると、喜びは小さなものだ。でもそれは代表に名を連ねた女性たちが強固な意志を持って示した“礼儀”だった」

 震災で大きな被害を受けたアジアの代表。苦痛や苦悩を抱いていないはずのない小柄な選手たちが強豪と呼ばれる国を次々に倒した姿は、各国の記者の心を揺り動かした。同記者は「Nadeshikoは前を向いた。魂のサッカーを披露して自分たちの成功を願うことが、たとえどんなに小さくてもそれが心の支えになってくれることを信じて…」とも付記。米国の通信社でありながら、原稿は国境を感じさせないものになっていた。

 英国ロイター通信のE・カーシュボーム記者も「日本からやってきた絶対に負けない(Never―say―die)チームは、気持ちを前面に押しだして米国を驚かせた」と称賛。「何か大きなものが彼女たちを引っ張っていた。私たちは素晴らしいチームに負けた」という米国GKソロのコメントも紹介した。

 スポーツ専門局ESPNのコラムニスト、D・ハーシュリー氏は「これはNeverでつづる物語。日本は一度も米国に勝ったことがなく、米国は先制ゴールをマークしたW杯の試合では一度も負けていない」と過去のデータを紹介。それを覆す展開を「ディズニー社なら映画化にゴーサインを出さない。これほど疲れてしまうシナリオはないから」と米国が抱える苦痛の大きさを表現した。同局の見出しは「顔を上げて、レディース」。負けた米国の健闘を称えるところに、なでしこジャパンの強さがにじみ出ていた。

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2011年7月19日のニュース