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相馬采配ズバリ!“新生”川崎F白星スタート

[ 2011年3月6日 06:00 ]

<川崎F・山形>試合終了間際、手をたたく相馬監督

J1第1節 川崎F2―0山形

(3月6日)
 初勝利に頬が緩んだ。川崎Fの相馬直樹監督(39)は「ほっとしています。選手たちに感謝したい」と選手をねぎらったが、実は勝敗を分けたのは指揮官の的確な指示だった。

 序盤はボールが思うように回らなかった。最初のシュートまで21分。もどかしい時間帯が続いた。背後を狙う意識が低いため相手DFラインが高い位置にあり、中盤にスペースがなかった。

 前半30分、相馬監督はMF中村を呼び寄せた。「相手のラインを下げてスペースをつくれ」。裏を目がけてボールを蹴るよう命じた。新指揮官が目指すのはパスをつなぐサッカー。だが、あえてDFラインの裏に蹴り込ませた。DFラインを下げてMFとの間にスペースをつくって、そこをつく狙いがあった。その直後の34分にFW矢島が左サイドを突破し先制点。38分には中村が裏のスペースに出したパスにMF登里が走り込み追加点。相馬采配がはまった。

 得点シーンにも“相馬イズム”が表れていた。先制点が決まった直後、GK杉山が自陣ゴール前から走ってきて歓喜の輪に飛び込んだ。1週間前の大宮との練習試合で、杉山はゴールを決めた選手に駆け寄らなかった。すると試合後に相馬監督が「お前だけ行ってなかったぞ」と指摘。“全員サッカー”を徹底させるためゴールパフォーマンスにもこだわった。

 「夜は眠れました」と淡々と話した相馬監督。だが、監督経験は昨季JFL町田を率いた1シーズンのみ。初のJ1の舞台だっただけに緊張はあった。前日はいったん帰宅したが、スーツを忘れていたため再びクラブハウスにとって返した。「次も忘れた方がいいかな」と試合後はおどけたが、少し肩の荷が下りた新指揮官の次なる采配にも注目だ。

 ≪元W戦士注目の好スタート≫川崎Fの相馬直樹新監督がJ1初采配初勝利。相馬監督は98年W杯フランス大会に出場。W杯日本代表経験者がJ1で指揮を執るのは井原正巳(09年柏=監督代行)秋田豊(10年京都)に次いで3人目。初采配は井原が●0―2G大阪、秋田が●0―4浦和(コーチとして指揮、のちに監督就任)とともに敗戦。初戦勝利は相馬監督が初めて。通算成績を見ると井原が1分け1敗、秋田が2勝3分け15敗とともに結果を残せなかっただけに、大舞台を経験している指揮官の初の好スタートに注目だ。

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