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クロアチア1位突破に導いた激安監督

[ 2008年6月14日 06:00 ]

<クロアチア・ドイツ>選手に指示を送るクロアチアのビリッチ監督

 欧州選手権1次リーグB組の2試合が12日に行われ、クロアチアがドイツを2―1で破り、2連勝で同組1位突破を決めた。前半24分にMFダリヨ・スルナ(26=シャフタル・ドネツク)が先制点を挙げ、強豪に競り勝った。ポーランドと対戦した開催国オーストリアは終了間際にMFイビチャ・ヴァスティッチ(38=LASKリンツ)が大会最年長弾となる同点PKを決めて引き分け、1次リーグ突破に望みをつないだ。

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 終了の笛に跳びはね、スタッフや選手と何度も抱き合った。V候補の筆頭だったドイツを撃破。クロアチアのビリッチ監督は誇らしげに言った。

 「素早く攻めて危ないところを抑える。ドイツに勝つにはこれしかない最高のプレーができた」

 通常の2トップから4―5―1の布陣に切り替え、分厚い中盤で優位に立つと両サイドを使って相手を切り崩した。前半24分の先制点は右サイドから左へ展開し、最後は左クロスにスルナが飛び込み先制点。後半17分は右サイドからのクロスが相手選手に当たってコースを変え、最後はポストで跳ね返ったボールをオリッチが冷静に決めた。

 初戦オーストリア戦は勝ち点3を挙げながら受け身に回り、消極的な戦いに終始。地元メディアの批判を浴び、終了直後のロッカーでも選手は沈んでいた。しかし、39歳で今大会最年少の指揮官がムードを変えた。ロックバンドのギタリストでサポーターに自作の代表応援歌を提供する異色監督はカセットデッキにテープをセット。音楽を流し「オレたちは勝ったんだぞ!」と盛り上げた。この日、リズム感あふれるプレーで応えた司令塔モドリッチは「きょうが本当の姿さ」と笑った。

 98年W杯メンバーだった指揮官は準々決勝でドイツを3―0で破り、3位の扉を開いた。「今のメンバーには当時と同じくらいの力がある。優勝も?無理なもんか」。現在の年俸は4万4000ユーロ(約730万円)。10年W杯まで延長した新たな契約でも16万6000ユーロ(約2760万円)と日本円で億単位が珍しくない代表監督としては破格の低年俸だ。そんな男が率いるチームが今大会に予算2000万ユーロ(約33億円)を注ぎ込む強豪を撃破。上位進出の期待が一気に膨らんできた。

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2008年6月14日のニュース