「ふてほど」P語る「ミュージカル」誕生の経緯 宮藤官九郎氏もノリノリ「みんなの秘めた力が」

[ 2024年3月27日 09:30 ]

金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」第6話。歌い、踊る小川市郎(阿部サダヲ・中央)ら(C)TBS
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 俳優の阿部サダヲ(53)が主演を務めるTBS金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」(金曜後10・00)は、29日に最終回を迎える。脚本家・宮藤官九郎氏による大胆かつ細密なストーリーに加え、本職のミュージカル俳優を起用したミュージカルシーンが大きな反響を呼んだ。この大胆な演出は、どのようにして生まれたのか。磯山晶プロデューサー(TBSスパークル)はスポニチアネックスの取材に応じ、「ふてほどミュージカル」誕生の背景を明かした。(中村 綾佳)

 本作は、宮藤官九郎氏がオリジナル脚本を手掛けるヒューマンコメディー。「池袋ウエストゲートパーク」「木更津キャッツアイ」など大ヒット作を多く生み出した宮藤氏&磯山晶プロデューサーによる、今一番の話題作だ。主人公は1986年(昭和61年)から2024年(令和6年)にタイムスリップしてしまう“昭和のダメおやじ”体育教師の小川市郎(阿部サダヲ)。彼の“不適切”な言動がコンプライアンスで縛られた令和の人々に考えるヒントを与える。

 懐かし小ネタにコンプラ度外視の大胆なセリフ…同作の特徴は枚挙にいとまがないが、何といっても視聴者の度肝を抜いたのは、初回から毎話“恒例”として放送されている「ミュージカル」シーン。出演者に歌わせるだけではなく、第1話では「ロミオ&ジュリエット」木下晴香、元宝塚歌劇団雪組トップ娘役・咲妃みゆ、第2話では「スリル・ミー」「スクール・オブ・ロック」柿澤勇人をゲスト出演させるなど、人気舞台俳優を起用し、本格的なミュージカルに仕立て上げている。

 このミュージカルシーン、提案したのは磯山氏だという。きっかけは、宮藤氏が脚本を手掛けた19年放送のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」。後半(第2部)、東京五輪(64年)招致の立役者となった主人公“まーちゃん”こと朝日新聞記者・田畑政治(阿部サダヲ)が踊るシーンを見て、「ああいうの、私もやりたい!」とリクエストした。

 「いだてん」で踊る阿部を見て心奪われ、長くパンクバンド「グループ魂」で歌う阿部を見ていた磯山氏は「歌う阿部さんはとても素敵だから…。そういうシーンを取り入れたら、阿部さんの魅力がより大きく伝わるのではないか…と思っていました」と、ミュージカルがさらに阿部の魅力を引き出すと確信していた。

 魅力を感じていたのは、阿部だけではない。サカエ役で出演する吉田羊の歌声にも惹かれていた。吉田は2022年にデビュー25周年を迎え、同年9月に自身初となる音楽コンサートを開催。洋楽や荒井由美、椎名林檎、坂本冬美など様々な楽曲を歌唱した。このコンサートを訪れ、吉田の生歌を聞いた磯山氏は「それはもう、凄く歌がうまくて」と衝撃を受けた様子。加えて純子役・河合優実も幼少期からダンスを習っていた実力者とあり、「こんなに実はみんな凄い力を持っているなら、それを生かすシーンを入れましょうという話をしました」と経緯を打ち明けた。

 この提案に賛同した宮藤氏は「じゃあいっそのこと、“テーマ”を歌うのはどうですか」とノリノリ。磯山氏ははじめ「あ、テーマを歌っちゃうんだ!」と驚いたというが、「でも、確かにこの部分を台詞のやり取りにすると、かなりディベートっぽくなって、何だか硬くなりそうと思っていたので『なるほど』と思いました。それに歌詞をテロップで出せるので、凄く伝わりやすいというメリットを感じました」と宮藤氏の手腕に感銘を受けた。

 第6話では、視聴者大注目の純子役・河合優実がついに初歌唱。磯山氏は河合について、もともと「歌は上手」とは聞いていたが、実際に歌声を聞いたのはクランクイン後が初めてだった。地上波では稀有なドラマ歌唱シーンだが、堂々と「私はまだ~17歳~♪ 昔話のネタがない~♪」と、透明感あふれる伸びやかな歌声を披露。磯山氏は「作曲家の先生も“デビューしたらいいのに”と言っていました。本当に凄い」と賛辞を呈した。

 さまざまな思いを込めたミュージカルシーン。磯山氏は「(ミュージカルシーンに)“何これ!”と笑っていただけるのは、凄くうれしいです」と視聴者の反応に笑みを浮かべた。

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