「ブギウギ」取調室のカツ丼 刑事役の内藤剛志が食べるユーモア

[ 2024年3月14日 08:15 ]

連続テレビ小説「ブギウギ」の小田島(水澤紳吾)と高橋(内藤剛志)らの場面(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】3月14日放送のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」第115回に警察の取調室の珍妙な場面があった。逮捕された男・小田島(水澤紳吾)の前にカツ丼。従来の刑事ドラマのように小田島が食べる展開になるのかと思いきや、なんと、食べたのは刑事・高橋(内藤剛志)だった。

 制作統括の福岡利武氏は「脚本の足立紳さんの大いなるユーモアです。私もこのシーンを台本で読んで、自分で食べる!?とひっくり返りました。スタッフに警察指導の方がいるので、実際に取調室で食事するようなことはあるのかどうか聞いたところ『ないことはない』ということでしたが、今回のシーンに関しては『こんな展開は見たことがない』ということでした」と説明する。

 そもそも刑事役に内藤を起用したところが面白い。内藤と言えば、テレビ朝日系の主演ドラマ「警視庁・捜査一課長」など、民放の警察関係ドラマの印象が強い。

 福岡氏は「そういう意味でも楽しんで頂ければいいと思いました。私たちとしては笠置シヅ子さん(主人公・スズ子のモデルとなった歌手)に実際に起きた事件を参考にしたエピソードを楽しく描きたいと考えた時、思い浮かんだのが内藤さんでした。内藤さんにとっては得意な領域、得意な空気感でのお芝居で、現場ではいろいろなアイデアを出してくださって、ご本人もとても楽しそうに演じているご様子でした」と明かす。

 「笑い」という点では、3月11日放送の第112回の「東京ブギウギ」ラインダンスシーンで、作曲家の羽鳥善一(草なぎ剛)が勢い余って転倒する場面も目を引いた。

 福岡氏は「転ぶ場面は台本にありませんでした。台本には『善一は、足は上がっていないが、とても楽しそう』と書かれていましたが、現場で草なぎさんが、へっぴり腰で踊り続けるより思いっきりこけた方が面白いと思いついて、あの場面になりました。セリフもご自身の気持ちから出たアドリブだと思います。あの場面をよく見ると、草なぎさんは思い切り足を上げて勢い余って転倒しています。現場で周りは心配しましたが、ご本人は『大丈夫です』と平然としていました。けがをしないようにちゃんと受け身を取っていたようです。おかげでとてもチャーミングなエピソードの回になったと思います」と称える。

 この作品はスズ子の歌と踊り、その生活が大きな見どころになっているが、「笑い」が物語を盛り上げる核の1つになっている。

 福岡氏は「足立さんは事あるごとに、ユーモアをしっかり入れていきたいとおっしゃっていました。ドラマを立ち上げる段階で私たちの方から『笑いもしっかり入れていきたい』と提案したこともありますが、ブギウギの世界観が出来上がってきた中盤以降は足立さんが積極的にたくさんユーモアをちりばめてくれました。警察の取調室のカツ丼を刑事が食べるという場面を書くには勇気がいると思いますが、ご本人は『こうした方が面白いと思うんですよ』とおっしゃっていましたし、それは、いかなる所にもしっかりユーモアを入れたいという強いポリシーの表れだったと思います」と話す。

 「笑い」だけではない。今週も「涙」を誘う場面が3月15日放送の第116回に盛り込まれている。詳細は見てのお楽しみだが、重要な役割を果たすのがスズ子の娘・愛子を演じている子役のこのか(8)だ。

 福岡氏は「このかさんはオーディションで選びました。お芝居が自然で安定しているところが良かった。先に愛子ちゃんを演じた小野美音さんから良い受け渡しができたと思います。愛子ちゃん役はここから最後まで、このかさんが演じます」と明かす。

 笑いと涙のドラマを最終回まで堪能したい。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部専門委員。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。

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