元宝塚男役スター 劇団員急死「絶対起きてはいけないこと」沈痛 13分間動画で訴え「本気で改革を」

[ 2023年12月13日 17:47 ]

七海ひろき
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 元宝塚歌劇団の男役スター・七海ひろき(年齢非公表)が13日までに自身のYouTubeチャンネルを更新。古巣・宝塚歌劇団の女性劇団員(25)が9月に急死したことについて、自らの思いを語った。

 動画では「今、宝塚について思っていることをお話したいと思います」と切り出し、「まず最初に亡くなられた生徒さん、ご遺族の方に心よりお悔やみを申し上げます。ご遺族のお気持ちは測り知れないですし、絶対に起きてはいけないことでした」と沈痛の思いを口にした。

 思いをまとめた手紙を読み上げる形で「私は宝塚歌劇団の宙組、星組に在籍していました。宙組にいたのはずいぶん前で、今回のことを詳しく知らないのに自分本位で思いを語るのはいかがなものかと思いますし、語ることで誰かが悲しんだり、傷ついたり、誤解が生じないかと心配でした。でも宝塚は人生の半分、青春の全てを捧げてきた場所です。私のふるさとです。無関係と思えず、静観している方が苦しいので、何ができるわけでもなく、自己満足ではありますが、私が思うことをお話しさせてください」と動画をアップした意図を説明した。

 さらに「あくまで私個人が感じていることで、皆さんそれぞれがお持ちの考えを否定するものでも自分の考えに賛同を求めるものでもありません」とした。

 自身はタカラジェンヌとして「夢を届ける仕事」と自認していただけに、「在籍期間が長いほど期間が長いほど夢を守らねばという使命みたいなものが染みついていて、中身を赤裸々に語ることは避けてきた。宝塚はそのベールが分厚すぎるので向こう側とこちら側が遮断されていて、タイムスリップしているくらい時代の感覚が異なる世界だと思っています」。

 時代や組によっても厳しさの差はあるものの「宝塚はいつの時代もずっと昔からどの組でも一般常識以上のストイックな環境ではある」とし、「宝塚はそういう特殊な風土のある浮世離れした場所だと思っていた方も多いのではないでしょうか。本当にその通りで、宝塚は浮世離れしていて時代の変化についていくのが難しい場所です。例えるなら、宝塚は華やかな竜宮城で、そこは外の世界から孤立していて、外からの情報が全く届きません。そこにいると浦島太郎のようになります」と自身の実感を述べた。

 10代から閉ざされた世界に身を置き「私自身苦しいことがあった時には自分が常識についていけてないんだと思っていました」と振り返った。

 さらに「どんな芸事のお仕事もプロとしてお客様にお金をいだいてご満足いただくには、ただならぬ努力とストイックさが必要になります。安定と平穏とはは程遠い職業」とした上で、「群舞やコーラスを70人全員が完璧に揃えるのは一朝一夕にはできないし、大人数がステージの上で事故なく素早く移動するためにには普段から厳しい規律が必要なのだと教わってきました。舞台でとっさの判断が必要な時に意見が割れないよう、普段から上級生の意見は絶対。何かミスが起きても息をするように瞬時に上級生の動きに合わせる。そして、みんな1日中、365日芸事と向き合って過ごします。常識から外れているかもしれませんがこれらの全てが悪いかと言うと、すごく難しい。ある程度のストイックさはどうしても必要だと思います」と上級生が絶対である意味を自問。

 一方で、今の宝塚の若手はネットで豊富な情報を入手できる環境にあり「(宝塚を)古いと気づいている人たち」。長年の在籍者とは「全く別次元の価値観」を持ち、いびつな状態が出来上がっているのではないかと指摘。

 「時代に合わせて変化できないまま年月が経ち、109年続いてきた宝塚の歴史の積み重ねによるものなんじゃないかと思っています。私もその歴史を過ごした1人です。その先で、今回のような悲しい出来事が起きてしまい、とても心苦しいです」と変化しきれなかったことが悲劇を生んだことに心を痛めた。

 「宝塚歌劇団の生徒でいたことを恥じず、誇りに思っていきたいです。だから宝塚が続いていくためにも、これからの生徒さんの未来のためにも、劇団が誠実に向き合って本気で改革に取り組んでくださることを心から願っています。昔のままで止まっている環境なので時計をちゃんと動かして令和の時を刻んでいっていただきたい」と劇団に要望した。

 ファンに向け、「愛してくださっている皆さんだけは今この瞬間も懸命に活動している現役の生徒さんたちにどうか思いを寄せて欲しいです」と呼びかけた。

 また、意見を表明することで、自身へ批判的な意見も出るかもしれないとし「悲しい思いをさせてしまうけどその意見を否定しないでいただきたいです。そして気持ちはすごく嬉しいけど、私の意見を過度に肯定したりもしないでください。お願いします」と理解を求めた。

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