「どうする家康」ネット沸騰 松山ケンイチ&山田孝之の初登場裏側「蓑を重ね着」「離れていたい」演出絶賛

[ 2023年2月12日 12:00 ]

大河ドラマ「どうする家康」第5話。 瀬名救出へ服部半蔵(山田孝之)を口説く本多正信(松山ケンイチ・左)(C)NHK
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 嵐の松本潤(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「どうする家康」(日曜後8・00)は今月5日、第5回が放送され、家臣団の嫌われ者・本多正信役を演じる俳優の松山ケンイチ(37)と松平家の武士だが“忍者の代表”服部半蔵役を演じる俳優の山田孝之(39)が初登場した。豪華共演と芸達者2人の掛け合いがSNS上で話題に。第5回を担当した演出統括の加藤拓監督に、撮影の舞台裏や2人の魅力を聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 「リーガル・ハイ」「コンフィデンスマンJP」シリーズなどのヒット作を生み続ける古沢良太氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ62作目。弱小国・三河の主は、いかにして戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのか。江戸幕府初代将軍を単独主役にした大河は1983年「徳川家康」以来、実に40年ぶり。令和版にアップデートした新たな家康像を描く。古沢氏は大河脚本初挑戦。松本は大河初主演となる。

 第5回は「瀬名奪還作戦」。松平元康(松本潤)は駿河・駿府に囚われの愛妻・瀬名(有村架純)を取り戻そうと決意。家臣たちの反対を押し切り“イカサマ師”と呼ばれる嫌われ者・本多正信(松山ケンイチ)の妙案に望みを託す。正信は伊賀忍者・服部党の頭領・服部半蔵(山田孝之)たちとともに駿府に潜入し…という展開。

 松山の大河出演は主演を務めた2012年「平清盛」以来、11年ぶり。山田の大河出演は竹千代(徳川秀忠の嫡男)役を演じた00年「葵 徳川三代」以来、実に23年ぶり。加藤監督は「松山ケンイチさんと山田孝之さんの芝居は素晴らしいセッションで本当に引き込まれました。1つ1つの仕草に役柄がにじみ出ていて、それを互いが感じ取っていく、そうやってキャラクターや関係性に深みと味が生まれ出すのを目の当たりにしたような気がします」と絶賛した。

 正信が半蔵を誘いに行くシーン。寒空の下の畦道、食える物を探している半蔵の前に正信が現れ「畦豆なんぞ、もういくらも落ちていまい。米の飯を腹いっぱい食わしてやる。服部半蔵」。加藤監督は「正信はちゃっかりと見つけた畔豆1粒を差し出し、半蔵の目がそこに吸い込まれていくのを見逃さない。ユーモラスでありながら、何と繊細で哀愁に満ちていることか。それが半蔵の家での懐に銭をねじ込む“イカサマ師の作戦”へとつながっていくというストーリー構築を、素晴らしい感性と演技術で生み出していきました」と松山の芝居に唸った。

 一方、人間不信、特に正信が信用ならない半蔵に、山田は「正信から離れていたい、近づきたくない」と提案。加藤監督は「半蔵を演じる本能的なものでしょう。囲炉裏にどっかりと腰を下ろす正信に背を向けて離れてゆく。『忍びで武士の誉れなど得られるもんか』『貧しくとも誇りはある』。それを見た正信は銭を落として半蔵を引き寄せ『武士としてな』とささやく。まんまと術中に落ちる、落とす、ユーモラスな掛け合い。この2人の間に次に何が起こるのか?すべてのスタッフが息をのんで見つめていたと思います」とクリエイティブな現場の様子を明かした。

 そして正信と半蔵、服部党は駿府へ潜入。今作はバーチャルプロダクションを駆使し「今川領・大崩海岸」のシーンもスタジオ内の巨大LEDパネルに映し出された映像。従来のグリーンバックを用いた合成映像より臨場感が高まるが「そこに、さらにリアリティーを加えるのは俳優の表現力」。半蔵の作戦成功を待つシーンの正信が蓑を重ね着したのは、松山のアイデア。「一気に寒々とした空気感がスタジオ内に生まれました。火に当たる正信の寒々とした不安げな表情。たった1カットで寒さだけでなく、2人の絆を浮かび上がらせた表現力には感動しました」と舌を巻いた。

 作戦失敗から一夜明け、さめざめと泣く半蔵。「山田さんはスタッフがセッティングを続ける中、セット中央で微動だにせず、うずくまっていました。その半蔵に近づく『策=掛けてやる言葉』を今度は思いつけない正信。出会いから切っても切れない関係になるまでを、ユーモアと哀愁を込めて1話の中で紡ぎ切った2人の力は凄かったですね。僕の好きなストーリーテリングは『おかしくて、やがて哀しき』ですが、ここまで見事なものは初めてかもしれません」と最大級の賛辞を贈り「この素晴らしい2人が『どうする家康』でどんな活躍をするのか、楽しみにしていただきたいと思います」と呼び掛けた。

 正信と半蔵の関係性について、山田は「(2人は)貧しい暮らしの中で死にものぐるいで生きていますし、近いマインドを持った人だとは思います。でも、これは正信に限らずですが、半蔵は基本的に人を信用しておらず、警戒心も強い。どのシーンでも人とほぼ目を合わせないんです。目は口ほどにものを言うという言葉もありますが、目をしっかり見ると相手に情報を与えてしまうこともあると思うので。でも、これから1年間続く物語の中で、半蔵の感情が大きく揺れ動いたり、崩れるほど感情が高ぶったり。もしくはしっかり相手の目を見られるほど信頼できる関係性を、正信や家康たちと築けたら…。そんなエピソードが出てきたらいいなと、僕自身も楽しみにしています」と語っている。

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2023年2月12日のニュース