藤井聡太3冠、出た!また伝説の王さばき 開幕3連勝で唯一無敗堅持 ALSOK杯王将戦挑決リーグ

[ 2021年11月6日 05:30 ]

<第71期ALSOK杯王将戦挑戦者決定リーグ>勝利し豊島竜王(右)と感想戦を行う藤井3冠 (撮影・奥 調)
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 将棋の第71期ALSOK杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)は5日、東西の将棋会館で挑戦者決定リーグ2局を行い、大阪では藤井聡太3冠(19=王位、叡王、棋聖)が豊島将之竜王(31)に101手で勝利した。開幕3連勝で唯一無敗を堅持。「ラスボス」豊島との対戦成績も6連勝とし、王将初挑戦へ前進した。東京では広瀬章人八段(34)が糸谷哲郎八段(33)に勝利し、糸谷の陥落が決まった。

 AI超えの指し手でファンを魅了してきた藤井にまた伝説の王さばきが生まれた。王頭の5七に豊島銀が迫り、その後方支援には1三角が控える。数には数で対抗するなら▲5八金。ところが藤井は違った。49手目▲5九王と居王へ戻った。

 「引いたことで後手からの厳しい攻めが難しく、意外とバランスが取れている。銀成とされても歩が打てます。すぐには突破されにくいと思いました」

 空間の魔術師と呼ぼう。豊島が△5七銀成とすれば▲5八歩で成銀の行き場所がない。△5七銀不成にも▲5八歩で豊島銀は再び4六へ退却する他ない。歩を5八へ打てただけ藤井陣は堅くなる。「柔軟な一手。豊島竜王は読んでなかった可能性があります」。対局を見守った脇謙二九段(61)の指摘通り、豊島は50分の長考に沈んだ。

 今年度見慣れた両者の対局風景。実に14局目で、今夏以降王位戦、叡王戦、竜王戦のタイトル戦で向き合う。藤井は初対戦から6連敗したが1月に初勝利を挙げると、今年度11勝3敗。両者スーツ姿でタイトル戦の勝負服・和服ではなかったが、力関係は大きく様変わりした。

 1年前のリーグでは棋士人生最大の屈辱に沈んだ。羽生善治九段(51)、豊島、永瀬拓矢王座(29)に開幕3連敗。後半3連勝で巻き返したが、同成績の1位広瀬は残留し、3位藤井は陥落した。1年後、真逆の勝敗で挑戦者争いの先頭を走る。「王将リーグは厳しい相手ばかり。ここまで結果を出せているのは少し成長できたところもあるのかな」。19歳はつかんだ自信を糧に初挑戦へ前進する。(筒崎 嘉一)

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