稲川淳二 パラアーティスト育成の企画立ち上げる「素晴らしい才能一人でも世に出す」

[ 2021年6月28日 05:30 ]

「稲川芸術祭」について語った稲川淳二
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 障がい者スポーツの祭典「東京パラリンピック」(8月24日開幕)を前に、タレントの稲川淳二(73)が障がい者アーティストを育成するための企画「稲川芸術祭」を立ち上げる。「楽しい!おばけ ゆかいな!おばけ」をテーマにした絵画作品を7月1日から募り、9月23日にメルパルクホール東京(港区)で行われる「怪談ナイト」で優秀作品を表彰する。

 怪談でおなじみの稲川だが、障がい者家族の一人でもある。13年に26歳の若さで天国に旅立った次男由輝(ゆうき)さんが、頭の骨に変形がある先天性の重い病気「クルーゾン症候群」を抱えていた。当事者の一人として10年ほど前から障がいに関する講演を行う中、知人から障がい者アーティストの育成・普及に関する相談を受け「目標を設定することは障がいを抱える人と家族ら支援者にとって絶対励みになる」と賛同した。

 講演活動を通じて実際に障がいのある人々の絵画にも接してきた。「被写体の周りの空気の流れまで描いた作品があったのには驚いた。我々には見えていないものが見えているんだと。キャンバスの中には垣根も差別も何もない。絵画は彼らのメッセージだと思います」

 「稲川芸術祭」にはエグゼクティブ・プロデューサーとして全面協力。応募作品は随時インターネット上に公開される。さらに全作品を収録した絵画集を製作し、参加者全員に贈る予定。最優秀作品には男子ゴルフのマスターズのグリーンジャケットにあやかり、緑のちゃんちゃんこを贈呈する。稲川は7月10日に開幕する夏恒例の全国ツアー「怪談ナイト」と並行して準備を進める。「素晴らしい才能の方々を一人でも多く世に出して皆さんに見てもらいたい」。将来的には芥川賞のように障がい者アーティストの登竜門として広がっていくことを願っている。

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2021年6月28日のニュース