高見七段「夢舞台」で初勝利 昨年度準優勝の広瀬八段を74手で下す 日本シリーズJT杯

[ 2020年8月2日 18:02 ]

日本シリーズJT杯1回戦第4局で勝利した高見泰地七段
Photo By 提供写真

 将棋日本シリーズ「JTプロ公式戦」の開幕戦1回戦第4局が2日、東京都渋谷区のシャトーアメーバで指され、高見泰地七段(27)が74手で前年度準優勝の広瀬章人八段(33)を破り、準々決勝に進出した。

 急転直下の幕切れに、勝利した高見の声が出ない。極度の緊張感を解かれた高見は「最後は指運。ギリギリの勝負だった」と声を振り絞った。最終盤、勝ち筋に入っていたはずの広瀬玉に敗着があった。初戦敗退を喫した広瀬は「最後はお粗末だった」と悔しさをにじませた。

 終盤、高見の脳裏をかすめたのは1年前のJT杯。「小さい頃からの夢の舞台。昨年は出ることができただけでうれしかった」。対するはタイトル獲得3期、棋戦優勝10回を誇る強豪・深浦康市九段。「終盤、こちらから『詰ましてみろ』とやっていれば勝っていた。でも相手の終盤力を警戒して長引かせる手順を選んでしまった。最後、自分を信じ切れず悔いが残る負け方をしてしまった」。1年ぶりの大舞台でも同様の場面が巡り、「昨年得た経験があったので、今年はその分を指せたのかなと思う」と力強くうなずいた。

 9月22日に行われる準々決勝では、JT杯2連覇中の渡辺明王将(棋王との2冠)と激突する。「公式戦で指すことも難しい先生。強い相手と戦って、どれだけ吸収できるかが今後の棋士人生の糧にもなると思う。実りの秋になればいいなと思う」とさらなる高みを目指す。

続きを表示

2020年8月2日のニュース