“少女漫画パイオニア”花村えい子さん作品展 画業60年「かわいい」がぎっしり

[ 2019年7月31日 10:00 ]

「画業60年のかわいい伝説 花村えい子と漫画」
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 少女漫画のパイオニアで、今年画業60周年を迎えた漫画家・花村えい子さんの展覧会「画業60年のかわいい伝説 花村えい子と漫画」が今月20日に、嘉麻市の織田廣喜美術館で開幕。夏休みを迎え、子供から年配まで、幅広い層が連日訪れている。原画150点が展示されているほか、初のアニメ作品上映などイベントも盛りだくさん。花村さんも「昔描いた子供の絵を、今の時代の人にも『かわいい』って見ていただけたら」と呼びかける。

 1959年に、貸本向け単行本用に描いた「紫の妖精」でデビュー。その後「なかよし」(講談社)をはじめとした少女雑誌や学年誌に作品を次々と発表し、星が輝く大きな瞳やカラフルな髪など、少女漫画のスタイルをいち早く描いて少女たちの心をつかんできた。

 花村さんが九州で展覧会を開いたのは意外にも初。少女をテーマに描いた洋画家・織田廣喜さんの作品を多数所蔵していることもあり、同所での開催が決定した。「織田さんも『少女シリーズ』があり、ご縁を感じました」と花村さん。「九州は雑誌グラビアの旅の仕事や、取材、個人旅行でも訪れたことがあり思いの多い土地。歴史的にも文化的にも印象深く、ここでの開催は光栄でうれしいことです」と話す。

 今回は、カラー、モノクロ含めた原画約150点を展示したほか、初のアニメーション作品会場限定上映、ぬり絵コンテストやファンションショーなどのイベントも盛りだくさんの内容となっている。

 かわいい少女イラストにはじまり、近年はコミック誌に山村美紗、連城三紀彦、内田康夫原作の文芸作品や古典を題材にした作品を発表するなど、60年にわたり幅広い層からの支持を集めてきた。「デビュー当時、日本は貧しく、何もない時代。その子供たちに楽しい夢を与える一つとして作品を描いていたような気がします。昔描いた子供の絵が、今の人たちに『かわいい』って見ていただけたらとってもうれしいです。原画ならではの色彩、かわいらしい空間も楽しんでいただければ」。

 60年の歩みが詰まった展覧会は8月25日まで。

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