吉本興業が「決意表明」 コンプライアンス徹底と反社会的勢力を「断固排除」

[ 2019年6月27日 14:50 ]

 吉本興業のお笑い芸人が事務所を通さず仕事をする“闇営業”を詐欺グループとの間で行っていた問題を受け、同社は27日、「決意表明」として文書を公表し、さらなるコンプライアンスの徹底と反社会的勢力の排除に関する姿勢を表明した。

 同社は公式ホームページ上で、一連の問題を謝罪した上で「仮に反社会的勢力から不当な圧力や脅迫を受けることがあれば、関係各署・機関とも密接に連携し、徹底的に戦い、断固それを排除してまいる所存」などとする決意表明を掲載した。

 吉本は2009年に株式を非上場にした時から反社会勢力との断絶などコンプライアンスの向上に積極的に取り組んできた。さらに2011年、島田紳助さん(63)が暴力団関係者との交際発覚で芸能界を引退したことで取り組みを強化。芸人やスタッフに対して年2回の社内研修など定期的にコンプライアンス意識を徹底させる試みを行ってきた。仕事が忙しい芸人らには楽屋などで個別で指導もしていた。

 今回の問題で、吉本は「カラテカ」の入江慎也(42)が事務所を通さずに直接ギャラを受け取る“闇営業”を振り込め詐欺グループとの間で行い、所属タレントを仲介していたとして、4日付で契約を解除。また、今月24日には「一定の金銭を受け取っていた」として「雨上がり決死隊」の宮迫博之(49)、「ロンドンブーツ1号2号」の田村亮(47)ら11人を謹慎処分にすると発表していた。

 同社の「決意表明」(全文)は以下の通り。

 この度の所属タレントの件によりファンの皆様及び関係先各位には、多大なるご心配とご迷惑をおかけしておりますことを、まずは心よりお詫び申し上げます。

 弊社はこれまで下記のように全社的にコンプライアンスの徹底と反社会的勢力の排除に取り組んでまいりましたが、この度の件を受け、社員・タレントが一丸となってコンプライアンス遵守の再徹底を図ります。

 グループ全体としてベストのコンプライアンス体制を再構築し、確実に遵守してまいることは言うまでもありません。

 ただ、本件のような事態を起こしてしまった結果からして、これまでの弊社におけるコンプライアンスへの取組みや方法では十分にカバーしきれない面があったことは否めず、弊社はこの点を認め、真摯に向き合い反省します。

 二度とこのような事態が起こらないよう、改めてタレントに対するヒアリングを実施し、そこでコンプライアンスに反する関係や行動等が判明したり、疑義が生じた場合には徹底的に明らかにしたうえで速やかに対処いたします。また、今後は、警察をはじめとする行政関係の皆様、民間の危機管理アドバイザー、弁護士をはじめとする法律専門家などの多方面から様々な知見・ご意見を賜りまして、コンプライアンス体制を再構築し、そしてそれをその時々の案件の事情に応じてタレントが正しく輝き続けられるように柔軟かつ最適に工夫しつつ、運用してまいりたいと考えております。

 そして、万が一不祥事が判明した折には、世間の皆様にご納得いただけるような判断をしたうえで、世間の皆様及び関係者様に対してこの公式HPを通じて適切かつ速やかにご報告させていただきます。

 弊社としましては、以上のような取組みを継続していくことを 通じて、世間の皆様から愛され、信頼される会社であり続け、笑顔の絶えない社会に貢献してまいりたいと考えております。

 また、長い芸能の歴史において反社会的勢力との関係が取りざたされたことは事実であり、このことは過去の当社においても例外ではなかったものと考えます。

 しかしながら、現在の吉本興業においては、あらゆる反社会的勢力との関係は一切有しておらず、今後も一切の関わりをもたないことを固く誓約・宣言いたします。

 今後、仮に反社会的勢力から不当な圧力や脅迫を受けることがあれば、関係各署・機関とも密接に連携し、徹底的に戦い、断固それを排除してまいる所存です。

 本件につきまして多大なるご迷惑ご心配をお掛けしておりますことを重ね重ね深くお詫び申し上げます。以上、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

             記

 弊社では、2009年の非上場化のタイミングと同時に、反社会的勢力との決別を明確に打ち出し、強い信念をもってその排除に努めてまいりました。新たにコンプライアンス推進委員会を組成し、警察OBや弁護士を顧問に迎えコンプライアンス推進体制を整備し、グループ全社におけるコンプライアンス推進を図ってまいりました。

 その一環として2009年からコンプライアンス研修を開始し、毎年1回、マネージャーが個別についたタレントにつきましては個別面談、その他の若手を中心とするタレントにつきましては劇場での集合研修という形式にて実施してまいりました。反社会的勢力の排除を中心に、その時々の芸能界や世間で注目を受けている事件をトピックスとして冊子にまとめ、社内弁護士、警察OBの顧問から具体例を交えながら説明する形式にて実施し、吉本興業という信用を背負ってタレント活動をしている以上有名無名を問わずいつどのような形でトラブルに巻き込まれるかわからない、したがってプライベートも含めタレントとしてのコンプライアンス意識を強く持たなければならない旨の注意喚起を日常的に行ってまいりました。

 また、2015年からは、若手タレントを対象とする集合研修については前期後期の年間2回実施することとし、さらに2016年からは上記研修とは別に、警察から講師を招聘して反社会的勢力や薬物等の危険性に関する研修も実施してまいりました。

 このように、これまで弊社では所属タレントに向けた研修を通じて、コンプライアンス意識の向上及び徹底を図ってまいりました。その結果、日本各地だけでなく、アジアをはじめとする海外におけるお取引先様、公益団体様からもご信頼いただける状況となり、ファンの皆様からも安心かつ熱心に応援いただけるような会社であるべく全力を尽くしてまいりました。

 しかしながら、このような状況のもとで、所属タレントにおいて反社会的勢力との関わりが認められたことについては誠に遺憾であり、忸怩たる思いとともにその責任を強く痛感しております。

 最後になりますが、一連の報道されている件を含め、約6000人の所属タレント及び約1000人の社員のあらゆる行いについてはすべて当社の責任です。繰り返しとなりますが、当社グループ全体でさらなるコンプライアンスの徹底に全力を尽くす覚悟であり、ここにその決意を表明いたします。

2019年6月27日

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