是枝監督「万引き家族」で初の大賞、興収45億円に「一番の勲章」

[ 2019年1月23日 05:30 ]

2018年毎日映画コンクール日本映画大賞

初の毎日映画コンクール日本映画大賞受賞に「大きな賞。うれしい」と喜びをかみしめる是枝裕和監督
Photo By スポニチ

 2018年毎日映画コンクール(第73回)の各賞が22日、決定した。軽犯罪を重ねながら暮らす家族の姿を通して人間の絆とは何かを問いかけた是枝裕和監督(56)の「万引き家族」が日本映画大賞に輝いた。

 初の大賞に是枝監督は「とても大きな賞。喜んでいます」と受賞をかみしめた。昨年5月のカンヌ国際映画祭で最高賞を獲得。「役者の力というものは国境を超えて伝わるものなんだなぁ」と改めて感じ入ったという。

 家族という共同体を今の時代に問いかけた作品。出演者がそれぞれの役の人間になりきって銀幕の中に生きていた。役者と信頼関係を築き、力を引き出すのはたやすいことではないはずだが、これこそ是枝演出の真骨頂。「居心地のいい現場でした」の言葉に実感がこもる。興行収入45億円と数字も残し、「多くの方に見ていただけたのは一番の勲章」と表情も和らいだ。

 昨年9月に永眠した希林さんに助演賞が贈られる。「最初の衣装合わせの時に“入れ歯を外したい”と提案がありました。“あなたは今までになく肉体を撮ろうとしているのが脚本から分かったから、私の役割としては、若い人と違って老醜をさらすことが大事になってくる。だからこれでいきたいと。一言一言が作品がどこに向かうべきかの指針になってくる。そういう存在でした」としのんだ。

 「希林さんから学んだことは共演した皆さんにもいろんな形で残っている。その種が育っていけばいい」と是枝監督は前を向いた。

続きを表示

2019年1月23日のニュース