スキャンダル描くフジ木10「QUEEN」 異色設定で“競合”弁護士ドラマと差別化

[ 2019年1月17日 10:00 ]

木曜劇場「スキャンダル専門弁護士 QUEEN」に出演する(左から)斉藤由貴、中川大志、竹内結子、水川あさみ(C)フジテレビ
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 女優の竹内結子(38)が主演を務めるフジテレビ木曜劇場「スキャンダル専門弁護士 QUEEN」(木曜後10・00)は、法定シーンが登場しない異色の弁護士ドラマ。今クールはTBS日曜劇場「グッドワイフ」(日曜後9・00)、日本テレビ「イノセンス 冤罪弁護士」(土曜後10・00)と弁護士ドラマが3本並ぶ。「リーガルハイ」などを手掛けた同局編成企画の加藤達也氏に企画意図や“競合作”との差別化などについて聞いた。

 竹内が6年ぶりの連続ドラマ主演を務める注目作。主人公の弁護士・氷見江(ひみ・こう)は情報操作により裏で社会を動かし“スピン・ドクター”と呼ばれる。主戦場は法廷ではなく、パワハラ、セクハラ、名誉棄損、損害賠償などのスキャンダルや社会的トラブルの裏側。女性クライアントを社会的窮地から救い出す姿を描くノンストップ・エンターテインメント。

 共演は水川あさみ(35)中川大志(20)泉里香(30)バカリズム(43)斉藤由貴(52)ら。同局“月9”「ラヴソング」や「刑事ゆがみ」などの倉光泰子氏がオリジナル脚本を執筆。Perfumeの作品や星野源の「恋」のMVなどを手掛ける映像クリエイター・関和亮氏が演出。斬新な映像による新感覚ドラマを届ける。

 ――同じ弁護士でも、あまり聞き慣れない「スピン・ドクター」をオリジナル作品で描きたいと考えた経緯や狙いを教えてください。

 「セクハラやパワハラといったスキャンダルを描いていくと決めた際、登場人物たちが対峙する相手は世間や周囲の空気。アメリカだとロビイストなど情報操作に特化した職種があるのですが、日本にはまだ一般的ではない情報操作というのが新しいドラマの切り口になるのではないかと思ったのが始まりです。日本では弁護士がスキャンダルに対応することが多く、事務所が専門に危機管理の部署をつくっているという現状もあったので、事実にならって、情報操作の専門家たちを弁護士事務所の中に組み込んでみようと考えました。なので、弁護士というのは逆に後から付いた設定ではあります」

 ――そもそも、スキャンダルを描こうとした理由は何ですか?

 「ドラマは少なからず、世相が反映されているものだと個人的には思っていて、今、何かニュースを見ると、起きた不祥事自体だけではなく、不祥事により狂ってしまった人生も併せて、非常に関心のあるものとして描かれていることが散見されます。そういった風潮は今の時代ならではの新しい脅威、新しい危機なのはないかと思ったのが理由です」

 ――女性が女性を救うことを根幹に置いたのは、なぜですか?

 「ドラマを楽しんでいただいているのが女性の方が多いというところで、メーンの視聴者である女性の方の胸がすく瞬間があるドラマにしたいなという個人的な思いがまずあって。あと、スーパーヒーローが弱き者を救っていくというのが昔からある分かりやすいフォーマットだと思うんですが、そのヒーローにおいて、ここ数年でジェンダーが逆になってきているなと感じていました。強い主人公像というのが男性だけのものでは、もうなくなってきているなと。特にアメリカでは、女性によるヒーローが席捲しています。ただ一方で、自分の母親もそうなのですが、やはり今の日本においては働きにくさ、偏見、声が上げられないなどの生きにくさが、まだまだ実情として女性の方にあるので、そういった2つの側面をドラマに反映した形です」

 ――今クールはTBS「グッドワイフ」、日本テレビ「イノセンス 冤罪弁護士」もあり、弁護士ドラマが3本。同時期に他局でも弁護士ものが放送されることをお知りになった時の率直なお気持ちを教えてください。また、どのように差別化を図ろうとお考えですか?

 「やはり弁護士ドラマというジャンルが求められているのだなと思いました。同じジャンルのものが同時期にあるということはもちろん意識しますが、このドラマには法廷シーンが登場しませんし、弁護士らしいやり取りはあまり描きません。弁護士モノではありますが、異色なものだと思っています。ドラマで扱うネタも普通の弁護士ドラマとは違うので、そこは視聴者の皆さんに新鮮に感じていただけるんじゃないかと思っていますし、3つもあることで逆に相互作用で盛り上がっていけば良いなと思います」

 ――このドラマを視聴者の皆さんにどのように届けたいですか?

 「とにかく役者さんたちが魅力的で、カッコよくて、ユーモアがあって、キラキラした形でお届けできればと思っています。疲れた時や落ち込んでいる時に少しでも気が晴れたりとかスカッとできたりとか、明日への活力が生まれるような前向きなドラマとして、見やすくて、しゃれていて、ちょっと笑えて、事件も解決して気持ちがいいドラマだよねと思ってもらえたらありがたいです」

 17日放送の第2話は「セクハラ騒動の真実」。ゲストは女優の成海璃子(26)ら。鈴木法律事務所・危機管理部。リーダーの氷見江(竹内結子)のもとに新たな案件が持ち込まれる。やって来たのは、大手広告代理店人事部長の藤原貴美子(国生さゆり)とクリエイティブディレクターの谷正輝(波岡一喜)。谷の契約社員へのセクハラ疑惑が週刊誌「週刊文新」に掲載されたことで、代理店の仕事に支障をきたしていた。谷と貴美子は事実無根を訴えるが、既に問題はSNSなどでも拡散され、代理店側は圧倒的に不利な状況にあった。氷見は状況把握のため、代理店を調査すると告げる。 早速、与田知恵(水川)と藤枝修二(中川)が代理店に赴き、社員たちに話を聞くが、谷のセクハラについての証言は得られない。敏腕記者の東堂裕子(泉)の紹介で編集者の堀川太郎(津村知与支)に接触した氷見は、被害者女性の佐藤瑠璃(成海)が暴露本を出版しようとしていることを知る。

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