たけし、生放送で涙 大杉漣さん急逝後初めて語る「俺が生かして俺が死なせたみたい」

[ 2018年2月24日 22:04 ]

映画「TAKESHIS’」で舞台あいさつする(左から)大杉漣さん、岸本加世子、ビートたけし(05年撮影)
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 ビートたけし(71)が24日、司会を務めるTBS「新・情報7daysニュースキャスター」(土曜後10・00)に生出演。自身が監督を務めた映画の常連で、さまざまな作品で存在感を示し、21日に急死した俳優の大杉漣さん(享年66)を悼んだ。これまでたけしはコメントを出しておらず、言葉にしたのは初めて。涙声で「(映画で)俺が生かして俺が死なせたみたいな感じ。申し訳ないなと思ってさ。だけど早いよね。人間って自分に近い人の死は堪えるね」とコメントした。

 たけしは21日、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」の収録現場で訃報を知り、絶句したという。関係者によると、周囲にも大杉さんの話はしておらず、ショックは大きかったようだが、この夜、故人をしのんだ。

 大杉さんにとって、北野武監督(たけし)は“俳優人生の恩人”。所属していた劇団「転形劇場」が1988年に解散した後、映像作品に本格進出した大杉さんにとって、大きな転機となったのが北野監督との出会いだった。

 92年に映画「ソナチネ」(93年公開)のやくざ役のオーディションに参加。手違いで約1時間遅刻し、既に片付けが始まっていた会場で、スタッフと雑談する北野監督の元に歩み寄ったが、監督は2、3秒見ただけで「もう帰っていいですよ」の対応。大杉さんは以前、スポニチ本紙のインタビューで当時を振り返り「受かるわけないと思っていたら、3日後くらいに“大杉さんでいきますから”ですよ」と話し、驚いたことを明かしていた。

 さらに、当初はすぐに死んでしまう役柄だったが、監督の「沖縄行かない?」の一言でロケに同行。ラストシーン直前まで“死期”が延び、この役で高い評価を受けて活躍の場を広げた。たけしは「漣さんは『ソナチネ』に受からなかったら、実家に帰って普通のサラリーマンになりますって言ってて遅れちゃうんだよね。でも、会ったら“あ、この人を使うべきだ”と思ったんだよね。単なるヤクザ事務所の電話番の役だったけど、電話で脅す演技がうまくてねえ。全部アドリブでやってって言ったんだけど、“金どうなってんだ、バカヤロー”とか延々とやれる。台本を書き直した」と当時を振り返った。

 北野作品の常連となったほか、多くの映画やドラマに引っ張りだこに。暴力団組織の会長を演じた昨年公開の北野作品「アウトレイジ 最終章」が最後の出演映画になった。「アウトレイジの結末は漣さんが死ぬ役なんだよね。なんか凄く変な言い方だけど、俺が生かして俺が死なせたみたいな気になって…。申し訳ないなと思って」と涙ぐんだ。

 「早いよね…。同じような人が世界中にいっぱいいるからしょうがないのだけど、やっぱり人間っていうのは自分の近い人の死とかは堪えるね。父親とか母親とか死ぬのこたえるのと同じように、友達や長い関係がある人がなくなると、相棒がいなくなったような寂しさがあるよね。縁があって自分の映画を支えてくれた人だからね」と悲しんだ。

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