篠田麻里子 女優業は「恐怖でしかなかった」…AKB卒業後は燃え尽き症候群に

[ 2018年2月11日 10:00 ]

「燃え尽き症候群」を乗り越え…女優として歩む「新しい人生」への決意を語った篠田麻里子
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 元AKB48の篠田麻里子(31)が、初主演舞台に向けて燃えている。22日に東京・天王洲銀河劇場で開幕する「アンフェアな月」(スポーツニッポン新聞社主催)で、主人公・雪平夏見を演じる。13年にAKBを卒業後、「燃え尽き症候群になった」という篠田。女優として生きると決めた時、再び火がついた。

 「今回はセリフの量が今までやった役の何十倍。台本の9割のシーンに私がいる。刑事モノでストーリーをセリフで組み立てていくので一言一句間違えられない。会話劇で伝える難しさも感じてます。でも、セリフは頭に全部入りました」。重圧よりもワクワク。稽古場の篠田は充実感にあふれていた。

 風変わりな女性刑事・雪平夏見の活躍を描いた秦建日子氏の小説「アンフェアな月」の舞台化。篠原涼子(44)の主演でドラマ、映画がヒットした「アンフェア」の原作「推理小説」の続編だ。「雪平は母性本能があって、愛情深い人。自分を表現するのが苦手だから、誤解されやすいんだと思う。私も不器用なところがあるので、そこは似てますね」

 セリフ覚えのため、正月返上で合宿を敢行した。「東京にいると誘惑がいっぱいあるから」と、1月2日から1週間をフィリピン・マニラで過ごした。行ったのは体質改善を目的としたスパ。午前5時に起きて、ランニング、ヨガ、トレーニングを1時間ずつ。スムージーや野菜サラダの朝食を取って台本を読み、昼食後もまた没頭。空いた時間は全て文字と向き合った。

 「英語がしゃべれないし、ほかに日本人もいないので台本を読むしかない。毎日午後10時に寝る生活で体質も良くなった。体重は1週間で3キロ落ちて、筋肉もついた。主演が倒れるワケにいかないじゃないですか」

 初主演が決まった時は、プレッシャーしかなかった。その不安な気持ちを責任感に変えて稽古に臨み、頭に叩き込んだセリフは自信につながった。「やっぱり生の舞台は楽しい。緊張感が興奮になる。“ドM感”ですかね、ワクワク感につながってくる」。AKB48時代に劇場公演で鍛えられた心臓はやっぱり強い。

 13年7月、7年半在籍したAKBを卒業。夢も、目標も見つからなかった。「AKBにいると毎日仕事があるし、休みもない。急に休みになっても、明日何しようってなってた。それが毎日続くと思うと、私は何をすればいいんだろうと不安になった。定年退職したサラリーマンの方の気持ちってこうなのかなと思って」

 前田敦子(26)や大島優子(29)とともに「神セブン」と呼ばれた人気メンバー。ライブに出たい、総選挙で上位になりたい。当時は深く考えなくとも目標は見つかった。だが、一人になってみると何を目標に生きればいいのか分からない。まさに、燃え尽き症候群だった。

 脱したのは2年前。米ニューヨーク旅行がきっかけだった。約2週間の滞在中、毎日ブロードウェーに行き「ミス・サイゴン」や「キャッツ」などのミュージカルを観賞した。

 「ミス・サイゴンの“命をあげよう”という曲で、こんなに人を感動させる歌があるんだっていうぐらい鳥肌が立ったんです。スタンディングオベーションでみんな拍手して。生の舞台の楽しさを感じました。ここまでとは言えないけど、私ももっとやれることがあるはずと思った」

 もともと芝居は好きではなく、女優業は「恐怖でしかなかった」。それは、苦手だったと思っていたから。「限界までやってないのに、ダメだと決めるのは良くないなと思ったんです」。今はもう、女優で生きていくという気持ちが固まった。「当分は燃えていられると思います」と笑う。

 来月11日に32歳になる。「最近は“小学生の頃にAKBを見てました”なんて言われる。結構つらいですよ」と苦笑する。これから先、アイドル時代を知らない人も増えてくるだろう。「30歳からまた新しい人生を歩んでいる。“AKBだったんだ”と言われるようになりたいですね」。アイドルからの完全な脱皮の時が近づいている。

 ◆篠田 麻里子(しのだ・まりこ)1986年(昭61)3月11日、福岡県糸島市生まれの31歳。06年1月にAKBメンバー入り。11年の第2回じゃんけん大会で優勝し、シングル「上からマリコ」でセンターを務めた。卒業後は映画「リアル鬼ごっこ」「ビジランテ」、ドラマ「水戸黄門」などに出演。1メートル67、血液型A。

 ▽「アンフェアな月」 生後3カ月の赤ちゃんの誘拐事件が題材。なぜか8時間後に通報してきた母親、身代金を要求しない奇妙な犯人からの電話など不合理な状況が多々起きる中、刑事雪平が解決に挑んでいく。原作は秦建日子氏が06年に出版した同名小説。同書などの「刑事・雪平夏見シリーズ」は5作で約160万部を売り上げ、「女刑事主役ハードボイルド小説ブーム」をつくり出した。

 ▽チケット 2月22日〜3月4日、東京・天王洲銀河劇場で計15公演。前売り券S席8500円、A席7500円、当日券S席8800円、A席7800円。チケットぴあ、イープラス、ローソンチケットほか主要プレイガイドで好評発売中。

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