吉行和子が語る母・あぐりさんへの思い「友達のような楽しい関係」

[ 2016年6月26日 12:05 ]

笑顔でインタビューに答える吉行和子
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 女優の吉行和子(80)が、今、旬を迎えている!?映画やドラマに引っ張りだこで、「この年齢になって仕事ができる幸せをかみしめています」。幼いころから持病のぜんそくに苦しんだ。この道に進むきっかけは、母親と一緒に見た舞台。いくつかの偶然が重なって運命の扉を開いた。その俳優人生とは…。

 昨年1月に107歳で亡くなった母のあぐりさんは、日本の美容師の草分け的存在。その生き方は、かつてNHK朝の連続テレビ小説にもなったことがある。

 「とても明るい人でした。寝たきりになってから、突然、“あなた、私が死んだ方がいいと思ってるんじゃない”と言われたんですよ。何言ってるんですか、人の生き死には神様が決めてくださることでしょと話すと、“いい答えを見つけたわね”って、最後まで頭の回転が速かったですね…」

 早くに夫のエイスケさんと死別し、再婚したことで母娘の間に少しだけ距離ができた時期もあった。あぐりさんが90歳の時、連れ合いに先立たれ一人になった。見えない壁もいつしかなくなり、翌年、初めて親子でメキシコへ旅行した。パスポートの申請に付き添った時には、高齢に気遣った係員に「車椅子をご用意しましょうか」と言われ、「冗談じゃないわよ」と自分でどんどん歩いて行くような気丈な母だった。

 「あの時は5、6人の友人と行ったんですけど、みんなが“日本食が食べたいね”なんて言いだしても、1人だけずっとメキシコ料理を食べ続けてましたから。旅先で私が疲れて帯状疱疹(ほうしん)になっても現地の人の家でダンスをしてるんです。本当に友達のような楽しい関係。思い出はたくさんありますね」

 趣味の俳句は、もう20年以上のキャリア。仲良しだった故岸田今日子さん、冨士眞奈美に誘われて始めた。時々、句会にも参加しており「日本語で遊んでいるような感じでとても楽しい」。週に1度、スポーツジムに通いストレッチで体調を整えている。その理由は「もうそんなに体を使う役は来ないでしょうけど、それでも山を登るような役が来たら登れるようにしておかないといけないですからね。そう思って頑張ってます」

 女優魂はいつまでも健在のようだ。

 ◆吉行 和子(よしゆき・かずこ)1935年(昭10)8月9日、東京都出身。57年、劇団民芸の「アンネの日記」で主役。退団後、唐十郎の「少女仮面」などに出演。テレビドラマ「3年B組金八先生」「ふぞろいの林檎たち」で人気に。映画「東京家族」で日本アカデミー賞優秀主演女優賞。兄は作家の故吉行淳之介さん。

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