本田翼「起終点駅」で初の難役 佐藤浩市のお墨付きに安堵

[ 2015年10月27日 09:30 ]

「起終点駅 ターミナル」で難役を演じた本田翼

本田翼インタビュー(上)

 10年先、20年先に何をしているかなんて分からない。本田翼(23)は「毎日毎日を懸命に生きて、その結果、女優をやっていても、やっていなくてもどっちでもいいんです」と関係者をのけぞらせるようなことを自然体で語る。大切なのは今。その今の羽ばたきを見逃したくない人だ。

 飾らない人柄にこちらの心も自然となごむ。最新映画の封切り(11月7日)が近づいてきたが、達成感があるのだろう。いい表情だ。

 挑んだ役は覚せい剤事件で裁かれる女の子。初めて、と言ってもいいくらいの難役。「映画でもドラマでも明るい役、等身大の役が多かったので、今回、こういう内容の日本映画に出られたのが、自分自身の中で凄く大きかったと思います」

 彼女の弁護を担当したのが佐藤浩市(54)扮する国選弁護人。その佐藤は「正直、この役は彼女で大丈夫だろうか?と一抹の不安を感じた」そうだ。それが撮影前の演技レッスンなどを通して成長していく姿に触れ、最後は「本田翼で良かった」と完成会見でお墨付きを与えた。

 「撮影が終わったあと、さすがに“今回、私で良かったですか?”とは聞けないじゃないですか。だから、佐藤浩市さんにそう言っていただけたことが“救い”というか、本当に良かったと思います」

 直木賞作家の桜木紫乃さん(50)の短編「起終点駅 ターミナル」をそのままのタイトルで映画化した1本。完成作を見た桜木さんからも太鼓判を押された。9月末の北海道キャンペーン。札幌で初めてゆっくり話す機会を得た。原作の設定は三十路の女で、本田の実年齢よりずっと年上。「設定は変わっていたけど、翼ちゃん良かったわ」と“お褒め”の言葉を頂いた。

 「たぶん原作者の方って、自分の作品の内容や設定を多少なりとも変えられたりするのってイヤだと思うんです。でも、そこは桜木先生の優しさであったり、作品への愛情であったり。そんなものを感じ、本当にうれしかったです」

 桜木さんの故郷でもある釧路が舞台。「果ての街」というフレーズが出てきて、釧路出身の筆者は少々ムカついたが、幣舞橋や和商市場、駅…が大画面に映し出されるたびに郷愁を覚えた。

 「北海道が初めてでしたので、私の北海道といえば、イコール釧路。撮影がお休みの時には釧路湿原にも行きました。きれいだったし、神秘的。人もみんなあったかい。ちょっと照れ屋さんのところがあって、愛らしくて、凄く好き」

 撮影を見学に訪れる市民は適度な距離感を持って見守っていたという。「いろんな土地に行きますが、たいていは隙あらば近くに寄って来ようという人がほとんど。でも釧路の人って遠くから見守ってくれているような感じ。それで照れ屋さんかな…と」

 ▼物語 妻子を捨て、釧路で国選弁護人として生きる鷲田完治(佐藤)と、覚せい剤事件で被告となった女(本田)の出会いと別れを描く人間ドラマ。それぞれ人生の終着駅と思っていた釧路の街は、次第に新しい人生への出発点となっていく。尾野真千子、中村獅童ら共演。My Little Loverが主題歌を歌う。東京国際映画祭で31日にクロージング上映される。

 ◆本田 翼(ほんだ・つばさ)1992年(平4)6月27日、東京都生まれの23歳。06年、中学時代にモデルデビュー。12年「恋愛ニート~忘れた恋のはじめ方」でドラマに初レギュラー出演。同年トーク番組「A―Studio」で4代目アシスタント。14年映画「アオハライド」に主演。15年7月クールの「恋仲」で初めてフジ月9ドラマのヒロインを務めた。CMでも大活躍。

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