林隆三さん急死 先月28日、熱唱ライブ直後に突然倒れる

[ 2014年6月10日 05:30 ]

死去した林隆三さん

 数多くの映画やドラマで活躍した俳優の林隆三(はやし・りゅうぞう)さんが4日、腎不全のため都内の病院で死去していたことが9日、分かった。所属事務所が明かした。70歳。東京都出身。通夜、葬儀は近親者で営まれた。喪主は長男征生(まさお)氏(37)。お別れの会などは未定。先月28日に歌手としてライブを開催した後、突然倒れ入院していた。

 数多くの名優が集った「俳優座花の15期生」のメンバーがまた逝った。

 関係者によると林さんは先月28日、東京・目黒のライブハウスでコンサートを開催。5月に自ら衣装をニューヨークに買い付けに行くほど力が入っていた。約130人を前に自身の楽曲や60~70年代の流行歌など、17曲を2時間半にわたって歌唱。公演が終わりライブハウスを出た後、突然倒れて動けなくなり病院に入院した。その後、仕事復帰を目指していたが、容体が悪化。4日朝、帰らぬ人となった。

 7日に都内の斎場で通夜、8日に葬儀・告別式が営まれた。葬儀には俳優座同期入所の小野武彦(71)や、高橋長英(71)、片岡仁左衛門(70)らが参列した。

 遺作は26日スタートのNHK時代劇「吉原裏同心」。心優しい医師役で未収録の出演シーンもあるが、NHKは「代役の話は聞いてません。内容を微調整して対応していきます」としている。

 私生活では女優の青木一子(70)と72年に結婚。1男1女をもうけたが、99年に離婚した。横浜市内で独り暮らしをしており、近所の女性は「昨年手術を受けたと聞いたが、体調が悪い様子はなかった。顎ひげを生やして“NHKの時代劇に出るんだ”と張り切っていたのに…」と突然の訃報に驚いていた。

 1963年に俳優座養成所に入所。同期の多くが芸能界の第一線で活躍し「花の15期生」と呼ばれた。最近は原田芳雄さん(享年71)、地井武男さん(同70)、夏八木勲さん(同73)らメンバーの訃報が続いている。

 林さんは77年、新藤兼人監督の「竹山ひとり旅」で高く評価され、NHKドラマ「たけしくん、ハイ!」では酒癖の悪い父親役を演じ人気を博した。少年時代を仙台市で過ごし、東日本大震災のチャリティー活動にも積極的に参加していた。

 ◆林 隆三(はやし・りゅうぞう)1943年(昭18)9月29日、東京都生まれ。66年に俳優座養成所を卒業。1970年に木下恵介監督のドラマ「俄(にわか)」で初主演。74年に「妹」で映画デビューした。NHK大河ドラマ「国盗り物語」などでも存在感を発揮。渋みのある声で、宮沢賢治童話の朗読劇やドキュメンタリー番組などのナレーションも務めた。長女の林真里花(39)は女優、声優として活動。

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