閉館の御園座に別れ惜しむ…三月大歌舞伎が千秋楽

[ 2013年3月26日 19:51 ]

御園座の最終公演となる「三月大歌舞伎」の千秋楽で、襲名披露の口上を述べる市川猿之助(右)と市川中車

 今月末で閉館する名古屋市中区の老舗歌舞伎劇場「御園座会館」で、現劇場での最後の自主公演となる「三月大歌舞伎」が26日、千秋楽を迎えた。名残を惜しんで詰めかけた1600人以上のファンは「御園座ありがとう」と大きな拍手を送った。

 昨年4月からの「さよなら公演」の最後となる三月大歌舞伎では、市川猿之助さんと市川中車さんの襲名披露口上や「義経千本桜」などが上演された。この日、夜の部の観覧券はほぼ完売した。

 終演後のカーテンコールでは猿之助さんの紹介で運営会社、御園座の長谷川栄胤社長が登場。「千秋楽を迎え、万感の思い。多くの役者さんとお客さんの汗が染みこんだ舞台や客席が無くなるのは非常に残念」と声を詰まらせると、客席から大きな拍手が湧き上がった。「ありがとう」と掛け声が飛び、涙を流す客の姿も。

 御園座は1896年に地元財界有志らが創業。名古屋大空襲と火災による2度の焼失を経て、1963年に現在の御園座会館が完成した。近年は観客数が落ち込んで収益が悪化し、経営再建中。老朽化した現会館は閉館後、解体され、超高層マンションを併設した劇場が2018年中に完成する予定。

 数え切れないほど訪れたという愛知県東郷町の鵜飼百合江さん(81)は「最後の公演が見られてうれしい。閉館はもったいないが、新しい劇場にも足を運べたら」と期待を込めた。

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