再生ピアノとともに…クミコ、石巻で新曲“記録”

[ 2012年1月26日 06:00 ]

石巻市の地元住民と一緒に歌うクミコ

 歌手のクミコ(57)が、新曲「きっとツナガル」(作詞クミコ・笹森恵子、作曲クミコ)を2月5日、東日本大震災の被災地・宮城県石巻市で録音することになった。再生ピアノをバックに地元市民やボランティアも参加する予定で、クミコは「震災のこと、被災地のことを忘れないために心を込めて歌いたい」と話している。

 悲しい出来事から10カ月が過ぎた。日にちを重ねるにつれクミコの心の中に、いつしかある思いがこみ上げてきた。それは、決してあの日の光景を消し去ってはいけないということ。

 「人は忘却の生き物です。被災地の方が一番恐れているのは、この忘却です。私にできることは忘れないでというメッセージを多くの人に伝えることかもしれない」

 人の記憶と時の流れ。歌い手として果たして何ができるだろう。悩みぬいた末に出した結論は、「あの港の町でみんなと一緒に歌おう」、そして「その歌を記録しておこう」だ。

 録音場所は、石巻中央公民館。クミコの呼びかけに当日は市民、ボランティア約200人が「きっとツナガル」をともに歌うことになった。津波の被害から再生されたピアノの青い海のように美しい音色が感動の歌声に花を添える。

 昨年3月11日、偶然にも石巻で悲劇に巻き込まれた歌手の役割。1年を前にした3月7日には、水没した石巻市民会館に隣接する不動町の「プレナホール」でライブを行うことも決まった。「この場所をはじめに地元の人たちの力を借りながら歌でできる新たな支援活動をスタートさせたい」と話している。

 そして、新たな春には、初めて再生ピアノが東京で演奏されるチャリティーコンサートも渋谷のオーチャードホールで開催(4月25日)される。被災地を支援する「きっとツナガル」プロジェクトの作詞家・湯川れい子さん、医師で作家の鎌田實さんらも出演する予定だ。

 ≪ダボス会議でも紹介≫津波にのみ込まれ、その後、再び美しい音色を取り戻したピアノは25日から、スイスで開催される世界経済フォーラム(ダボス会議)でも映像で紹介される。ピアニストの辻井伸行さんがこのピアノを演奏する様子とともに日本紹介の公式映像が流される。昨年9月11日には、石巻市で行われたクミコの「心の復興コンサート」でも使用された。

続きを表示

2012年1月26日のニュース