[ 2010年3月6日 06:00 ]

さすらい人役のユッカ・ラジライネンとアルベリヒ役のユルゲン・リンの見応えあるバリトン対決 ※写真はすべて新国立劇場提供、舞台写真は三枝近志撮影

「フランツは現在におけるジークフリート役の第一人者として世界中の歌劇場から引っ張りだこのヘルデン・テノール。ワーグナー上演の聖地バイロイト音楽祭はもちろん、ベルリン州立歌劇場やウィーン国立歌劇場など数多くの劇場で歌っています。強い声と長丁場を乗り切れるだけのスタミナ、そして何よりも心理面の深い掘り下げが求められる表現力を兼ね備えた実力者なのです。声量面では数年前の全盛時に比べると幾分の衰えは隠せないものの、全体を見通してのペース配分はさすがのひと言に尽きるし、豊かな表現力は依然、他の追随を許さぬものがある」とコンシェルジェも高く評価していました。

ミーメを演じたヴォルフガング・シュミットは強い声と多彩な演技力で、物語の前半を牽引していました。若い頃はジークフリートを歌っていたそうですが、その素晴らしい声を聴くにつけ、まだまだジークフリートでも十分通用するのではないかと、思ってしまうほどです。さすらい人(ヴォータン)のユッカ・ラジライネンも、前作、前々作よりも、ハリのある声で存在感を発揮。車椅子に乗った兄アルベリヒ役のユルゲン・リンも「ラインの黄金」に続いて、パワーに満ちた声でこの役のキャラクターを十二分に演じきっていました。小鳥の安井陽子も宙づりになって飛び回るという、身体を張った演技を披露してくれたのが印象に残りました。

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2010年3月6日のニュース