村下孝蔵さん 未発表曲入りアルバム発売へ

[ 2009年5月7日 06:00 ]

 「初恋」などのヒットを放ったシンガー・ソングライター、村下孝蔵さん(享年46)の死去から6月24日で10年に当たり、初のアコースティックライブ盤が発売される。“ギター小僧”にちなんだ「GUITAR KOZO」のタイトルで7月1日発売。ヒット曲を網羅するほか、幻の2曲も日の目をみる。

 80年代のニューミュージックブームのまっただ中、淡く、ほろ苦い恋の歌を得意とした村下さん。今回、公式に発売される未発表曲も真骨頂といえるナンバーだ。
 1曲は「手のひらの愛」。もしもできるなら、時を戻せるなら、今すべて投げ出してでも強く抱きしめる…と感情を絞り出す失恋ソング。97年12月25日、東京・港区のホテルオークラ平安の間で行ったクリスマスディナーショーで来場者200人のためだけにCDにして配った。
 当時、ソニーミュージックのプロデューサーを務めていた須藤晃氏の自宅から発見された。1コーラスだけで2分1秒。未完の作品だが、オリジナルのまま収録される。
 もう1つの曲は「また逢う時まで」。同じく須藤氏の自宅からデモテープの状態で見つかった。こちらは歌詞がなく、ラララ~とハミングしている状態。生前、公演でサポートメンバーを務めた経田康氏がギターのインストゥルメンタル曲として完成させた。
 アルバムのプロデュースも経田氏が担当。「踊り子」「ゆうこ」などヒット曲のライブバージョンとともに全14曲で構成。ライブの時期は曲によってのが違うが、活動の軌跡を再検証できる内容になっている。死後発売された作品はこれで7作目。
 99年に亡くなってから、ちょうど10年。人気は根強く、三田寛子(43)や島谷ひとみ(28)もカバーした代表曲「初恋」は06年5月に着うたが配信され、これまで30万ダウンロードを記録。生前のフィルム上映を行う追悼コンサートも毎年開催され、今年も7月19日に広島クラブクアトロ(広島市)、同25日に浜離宮朝日ホール(東京・中央区)で行われる。ソニーミュージックは「村下さんの曲は歌詞がロマンチックでメロディアス。時代を超えて愛される数少ない歌手です」としている。

 ◆村下 孝蔵(むらした・こうぞう)1953年(昭28)2月28日、熊本県出身。実家が映画館を経営していたため、映画の影響でギターを始める。ピアノ調律師などを経て、当時のCBSソニーオーディションで最優秀賞に選ばれ、80年に「月あかり」でデビュー。失恋や酒、たばこなど“大人の世界の入り口”である青春を繊細に描き、叙情派シンガー・ソングライターとして君臨。ギター1本で聴き応えのあるサウンドは幅広い層に支持され、「フォーク最後の生き残り」を自称した。日本語の歌詞の美しさにもこだわり、サウンド重視の流行ポップスと一線を画した。99年6月20日、コンサートのリハーサル中に倒れて緊急入院し、同24日に死去した。

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2009年5月7日のニュース