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ロンドン五輪バンタム級銅・清水聡が見た村田のプロデビュー戦

[ 2013年8月26日 11:20 ]

観戦するロンドン五輪ボクシング銅メダリスト・清水

 【ロンドン五輪バンタム級銅・清水聡観戦記】

 村田は自己採点を80点と言っていたけど、79点ですかね。実力はしっかり見せましたけど、スター性という点で、最後は倒してほしかった。プロなら盛り上げないとね。プロは倒してナンボ。でも、いい試合でした。

 僕は、アマチュア時代のスタイルを変えてくると思ってましたけど、五輪の時とあまり変わってませんでした。村田は、デカいくせに頭がいいんです。アマはルールがよく変わるんですが、そのたびにスタイルを変える柔軟性があった。

 アマはトーナメントなので、いろんなタイプの選手に対応しないと勝てない。村田のスタイルは完成されているけど、相手によって戦い方を変えることもできる。だからプロでも世界王者にはなれると思います。アマを代表してプロのリングに上がるわけだから、頑張ってほしいですよね。

 ただ、「1回ぐらい負けとけ」とも言いたい。村田とは年齢が同じで、日本代表入りも一緒、代表合宿の初練習でそろって遅刻した腐れ縁です。それが、08年北京五輪の出場権を僕だけ獲った時に「まぐれだ」って言ったんですよ。

 12年ロンドン五輪の時も、僕が準々決勝を勝って先に銅メダル以上が確定した時、同部屋だった選手村に戻ったら「あ~あ、やる気ね(ない)」ってマジで怒ってる。翌日が自分の準々決勝なのに。僕が目立つから悔しかったんでしょ。「こいつ、妻子がいるのに子供か」と思いましたね。

 「ごめんな、俺のせいでやる気なくなって」って言ってやりましたけど、翌日も「負けろよ」と送り出しました。「やかましいわ!」って言ってましたけど、勝ちましたね。まあ、勝つと思ったから「負けろ」とも言えるんですけどね。

 だから、プロでも「力を抜いて頑張れ。抜きすぎて倒されろ」って言いたくなっちゃうけど、仮に負けたとしても村田ならはい上がる。アマで無敗でいるのは不可能だから、村田も敗北を知っている。プライドも高い。敗北から、はい上がる姿も見てみたいですね。

 村田とのライバル意識はお互い、昔からありましたね。村田は「おまえは銅メダル」って僕を見下してる部分があるんですけど、プロに行ったから仕返しもできない。

 僕は来年に復帰して、できれば16年リオデジャネイロ五輪で史上初のボクシング競技2大会連続メダルを目指そうと思っています。それまではメディアを通じて、チクチク仕返ししてやります。(12年ロンドン五輪ボクシング男子バンタム級銅メダル)

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2013年8月26日のニュース