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村田 東洋太平洋王者なぎ倒した!鮮烈2回TKOプロデビュー

[ 2013年8月26日 06:00 ]

1回、柴田(右)に左ボディーブローを見舞う村田

プロボクシング 73キロ契約6回戦 村田諒太 2回2分24秒TKO 柴田明雄

(8月25日 東京・有明コロシアム)
 ボクシングのロンドン五輪男子ミドル級金メダリストの村田諒太(27=三迫)が25日、東京・有明コロシアムで行われたノンタイトル6回戦でプロデビューし、東洋太平洋ミドル級王者の柴田明雄(31=ワタナベ)を2回2分24秒TKOで下した。初回にいきなり右ストレートでダウンを奪い、武器の強打がプロでも通用することをアピール。夢の世界王者へ向けて最高のスタートを切った。

 東洋太平洋王者を、いとも簡単になぎ倒した。開始のゴングが鳴ると、村田はいきなり前に出た。ぐいぐい接近して、右ストレート、ワン・ツー。足を使って左右に動く柴田を追い詰めていった。2分すぎ。後方にステップした王者の顔面に、こん身の右ストレートを打ち込んだ。柴田はそのパワーに押されるようにして、マットに尻をついた。

 2回に入っても、アマ時代と同じようにガードを固めて、前に出てプレッシャーをかけ続けた。ワン・ツーで相手をぐらつかせ、ロープに追い詰めて右を打ち込んだところで、レフェリーはストップ。4月にプロ転向表明後、米ラスベガスで計3度の合宿を実施し、元キューバ代表コーチのイスマエル・サラス・トレーナーからプロ仕様のスタイルも学んだが、その技術を見せる前に、パワーで圧倒してしまった。

 「このリングに立てて、幸せに感じます。80点ぐらいはつけていいですかね。まずは勝てたことにホッとしています」

 昨年8月に日本人として48年ぶりの金メダルを獲得したロンドン五輪から約1年。有明コロシアムは4500人が集まり、ゴールデンタイムで生中継された注目の一戦で、ゴールデンボーイは輝きを放った。

 その体の強さは国内では群を抜く。帝拳ジムの成田合宿では800メートル走でも、13キロ走でも山中慎介や三浦隆司ら軽量級の世界王者たちをぶっちぎった。3キロ以上あるクロカンコースでの恒例のタイム走では西岡利晃の最高記録を30秒以上も更新した。「基礎体力は誰にも負けない自信がついた」。フィジカル能力の高さはプロで戦っていく心の支えとなった。

 それでも試合の1週間前からは眠れないほど不安もあった。前夜、自身のフェイスブックには南京都高時代の顧問で、3年前に亡くなった故武元前川(たけもと・まえかわ)先生(享年50)のことをつづった。「おまえの拳には可能性が宿っている」と言って、ボクシングの道に導いてくれた恩師。ロンドン五輪の抽選の2日前には夢に出てきて、不思議と不安がなくなったという。「先生は今も僕のそばにいる」。あえて書くことで不安を鎮めた。

 この日は武元先生の誕生日だった。「偶然が重なって、勝つ運命を感じてました」。天国の恩師に白星を贈り、力強くプロの第一歩を踏み出した村田は「誰もが認める世界王者になりたいと思います」と高らかに宣言した。

 ◆村田 諒太(むらた・りょうた)1986年(昭61)1月12日、奈良市生まれの27歳。中1でボクシングを始める。南京都高で高校5冠、東洋大に進み全日本優勝5度など国内13冠。11年世界選手権で2位、12年ロンドン五輪では金メダルを獲得した。119勝89KO・RSC、19敗。1メートル82。家族は夫人と長男。

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2013年8月26日のニュース