栗山英樹CBO 次世代へつなぐために野球界を一つに 危機感感じる今こそ行動に移さなければ

[ 2024年1月4日 05:30 ]

「ES CON FIELD神社」に祈願する栗山CBO(撮影・高橋 茂夫)
Photo By スポニチ

 【栗山英樹 帰ってきた熱中先生】昨年5月に侍ジャパン監督を退任後、スポニチ本紙にコラム「帰ってきた熱中先生」を復活させた栗山英樹氏(62)が、1日付で日本ハムのチーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)に正式就任しました。これに伴い、連載を今回をもって一時休載します。92年5月12日付紙面から始まり、日本ハムと侍ジャパンの監督時代の休載を挟んで今回が752回目。球団最高責任者として新たな道を歩む栗山CBOの活躍を願い、連載はいったん最終回を迎えます。

 12年から日本ハムで10年間、21年12月から昨年3月まで侍ジャパンで、合わせて12年間ほどユニホームを着させてもらった。そのユニホームを脱いだWBC以降、さまざまな場所に足を運んで感じたことがある。本当の意味で野球が過渡期を迎えているということだ。

 何よりも野球をする環境。道具や場所、人口など今の時代を考えれば、簡単に野球ができていた以前とは大きく異なっている。メジャーで活躍する選手たちに子供たちが憧れるように、トッププレーヤーが生まれている間にやらなければいけないことがたくさんあると痛感した。

 ラグビー、バスケットボール、バレーボールなど、スポーツの力が大きく取り上げられた23年。さまざまなスポーツがプロ化や環境を整え、一体となって前に進む。その思いは多くの人たちの心に届き始めた。そんな姿を参考にして、まず野球界全体が一つにならなければ、愛する野球の環境を次世代に残していくことはできない。

 野球とは不平等を学べるスポーツだ。選手全員がベンチに入れるわけではなく、先発メンバーで出場できるのは1チーム9人(DHを含めても10人)。ベンチに入っても試合に出場機会がほとんどないコーチャーもいる。でも、そうした試合に出られない人たちが重要で、誰もが「試合に勝つ」という同じ方向を向いて一体となったときにチームとして力を発揮できるのだ。それは会社などでも同じことが言える。だからこそ野球というスポーツが日本でここまで発展したんだと思う。

 この大変な世の中に順応するためにも、やらなければならないことがある。先人たちがつくってくれたものを大切に、野球の環境を守るために、もう自分のチームや組織のことだけを考えているときではないと感じる。野球界が同じ思いで一体となって、一人一人が私も含めて、それぞれの立場でできることはあるはずだ。野球人の誰もが野球界の危機を感じている今こそ、行動に移さなければいけないときを迎えている。

 1日付で日本ハムCBOに就任。野球人としてやるべきことを胸に、新たな立場で取り組んでいきたい。(日本ハムCBO)

 ≪「とにかく行動しよう」≫栗山CBOは新年を迎え、色紙に「知行合一」と記した。これは中国・明の時代に思想家の王陽明が唱えた陽明学の命題の一つで「本当の知識は実践しなければ知らないことと同じ」という意味だ。栗山CBOが最も心に残る偉人として挙げる吉田松陰が、松下村塾の掛け軸に掲げた言葉としても有名で「分かっていてもやらないのは最悪。分かっているなら、とにかく行動しようということ」と説明。CBO就任発表時には、エスコンフィールド神社で新たな思いを胸に祈願した。

続きを表示

この記事のフォト

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2024年1月4日のニュース