中畑清氏 花巻東・麟太郎に米挑戦の新たな可能性期待

[ 2023年12月26日 05:00 ]

中畑清氏
Photo By スポニチ

 【キヨシスタイル!】もはや夢の世界を飛び越えている。スポーツ界最高の10年総額7億ドル(決定時約1015億円)でドジャースと契約した大谷翔平に続き、山本由伸が12年総額3億2500万ドル(約461億5000万円)でド軍と契約合意した。こちらは年数、金額ともメジャー投手史上No・1だって。日本の選手がそれだけ評価されてるってことはうれしいんだけど、金額が凄すぎて…。とても現実とは思えないんだよね。

 WBC3大会ぶりの優勝で幕を開け、大谷、山本の超大型契約で幕を閉じようとしている2023年の野球界。大きな数字が飛び交っている中で、ある高校生の決断に注目している。大谷の花巻東(岩手)の後輩、歴代最多の高校通算140本塁打を放った佐々木麟太郎くんだ。

 ドラフトの目玉と思われていたスラッガーはプロ志望届を出さず、米国の大学へ進学すると表明。複数のメジャー球団からマイナー契約のオファーがあったらしいが断って留学の準備を進めているという。

 「野球が終わった後の人生のことも考えて決めました」

 「野球“も”できる人間になりたい」

 しっかりした考えを持っててさ。夢を語られると純粋に応援したくなってしまうんだよね。

 米国の大学に留学してメジャー入りを目指した球児は何人もいたと思うけど、メジャー入りを果たした例は聞いたことがない。彼に新たな可能性、道しるべをつくってもらいたいな。

 寂しさもあるよ。NPBで1クッション入れることなくメジャーに入って成功する道ができてしまったら、後に続く選手が増えるんじゃないかなってね。

 ファンの立場からすれば、大谷や山本のようにNPBで力をつけてから行ってほしいよね。最短で9年かかる海外FA権取得を待つことなく、ポスティングシステムで行ける。圧倒的な力を見せつければ、山本のような契約が勝ち取れるんだから。

 それでも、あえて道なき道を選んだ18歳の決断。日本の大学とは違った環境でフルスイングに磨きをかけてさ。メジャーのドラフトで上位指名されるようなスラッガーになってほしいね。(本紙評論家・中畑 清)

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年12月26日のニュース