OB会長の川藤幸三氏「?の少なかったチームが勝つ」 全員の頑張りを称える中、挙げた殊勲甲は…

[ 2023年11月6日 05:15 ]

SMBC日本シリーズ2023第7戦   阪神7ー1オリックス ( 2023年11月5日    京セラD )

阪神・川藤幸三OB会長(撮影・成瀬 徹)

 “初代”日本一戦士から祝福コメントが届いた。元阪神の川藤幸三氏(74)が、スポニチに特別手記を寄せた。川藤氏は現役時代の85年は精神的支柱としてもチームを支えた。現在も球場に足しげく通い、選手たちを直接激励する名物OB会長。大物OBが日本一を成し遂げた岡田監督らの盟友をはじめ選手たちの活躍を称えた。

 心からおめでとうを言わせてもらうで。よくやった。ほんまに、みんなよく頑張った。シリーズだけとちゃうで。一年間、本当に頑張った。OBとしても本当にうれしい。85年は選手として日本一を味わったが、今回はまた違った喜びがある。今夜は祝杯をあげさせてもらうで。

 この一年、甲子園では全試合を見させてもらった。遠征にも可能な限り付いていった。苦しいときもあった。それでも、みんなが耐えて踏ん張った。一年間のチームの成長をもの凄く感じるんや。野球というのはクエスチョンの多いゲーム。1回から9回まで?のない試合はない。そして?の少なかったチームが勝つ。それが今年のタイガースやと思う。

 名前を1人挙げさせてもらうと、坂本の頑張りは凄かった。シーズン前から正捕手は梅野といわれていた。それでも坂本は試合に出るための準備は怠らなかった。実績のなかった村上、大竹に勝つための投球をさせ、梅野が死球で戦列を離れた8月後半からは優勝のプレッシャーがかかる場面を支え続けた。彼とはシリーズ第1戦のことを話したんや。5回に4点を先制したその裏、先頭の森が二塁打で出塁し、頓宮にはフルカウント。「どんな思いだったんや」と聞くと「4点あっても流れは一瞬で変わる。村上の武器をどう使うかのリードでした」と見逃し三振に仕留めた場面を振り返った。これもチームの成長や。

 佐藤輝にも聞いた。第1戦の5回の盗塁や。「サインはいけたらいけ、でしたけど、絶対に1球目から決めるつもりでした。そのためにどうするかを考えました」と言いよった。何にもこだわらないイメージの佐藤輝でもそこまで覚悟を決めていた。一人一人の思いが積み重なっての日本一だった。

 岡田監督はあらゆる情報を熱心に集め、采配につなげ、組織で勝つスタイルをつくりあげた。湯浅投入で球場の雰囲気を変えた起用は見事だった。ファンを戦力にして日本一を勝ち取った。平田ヘッドは裏で励ましたり、怒ったりと、星野監督時代の島野ヘッドの役目を見事にこなした。コロナで休止していたOB会も久しぶりに今年は開催する。その場でもう一度喜びを分かち合いたい。
 (構成・鈴木 光)

 ◇川藤 幸三(かわとう・こうぞう)1949年(昭24)7月5日生まれ、福井県出身の74歳。若狭から67年ドラフト9位で阪神入団。主に代打の切り札として活躍し、86年に現役引退。通算成績は771試合で打率.236、16本塁打、108打点。90、91年に阪神総合コーチなど。2010年11月から阪神OB会長。現役時1メートル74、76キロ。右投げ右打ち。愛称は「浪速の春団治」。

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