鈴木啓示氏　勝者と敗者、双方に拍手を送ってほしい

SMBC日本シリーズ2023第7戦   阪神7ー1オリックス （ 2023年11月5日    京セラD ）

記念撮影する阪神ナイン（撮影・平嶋　理子）
Photo By スポニチ

　【鈴木啓示　視点】本当に素晴らしい日本シリーズだった。ともに持てる力を発揮し、勝利を目指した。最後は意外な差がついたが、どちらが日本一になってもおかしくないチームだった。だからこそ、この対決は野球ファンを魅了した。

　ノイジーの3ランが先発した青柳にも力を与えた。シリーズ初登板が第7戦。プレッシャーは想像を絶する。しかも今季は不本意なシーズンだった。それでも岡田監督は任せた。責任感が投球の支えになった。阪神の選手は、この経験を今後の財産にしてほしい。

　改めて思う。勝負は非情だ。7戦という形で勝者と敗者を分けてしまう。岡田監督も中嶋監督もそんな勝負の世界に生きている。その厳しさは覚悟の上。だからこそ「負けたけど、ようやった」とは言えない。そういう言葉は勝負師たちにとって、逆に失礼だ。勝つために戦った。負けて悔いがないはずはない。それが勝負の世界なのだ。

　一方でこの対決を見続けたファンの方には勝者と敗者、双方に拍手を送ってほしい。敗者があってこその勝者なのだ。結果の後、ネットやSNSで敗因が取り上げられるのが昨今の傾向だ。心ない書き込みなどはせず、両軍の健闘を称えてほしいと願う。