勝負の9月 関本賢太郎氏が注目する阪神の2点は「ブルペン陣の進化」と「岡田監督独特の勝負勘」

[ 2023年9月1日 07:00 ]

練習開始前に円陣を組む投手陣 (撮影・奥 調)
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 勝負の9月を阪神はどう戦うのか。OBで本紙評論家の関本賢太郎氏(45)は強みとするブルペン陣と運用する岡田監督の勝負勘に注目した。

 勝負の9月も阪神の戦いのポイントはブルペンだ。最後に3連敗があっても、8月は18勝7敗。見事な成績で首位をキープしている。特に夏のタフな戦いの中でブルペンの踏ん張りは特筆ものだった。好成績を呼び込むことができた。

 8月はチーム防御率2・55で、救援陣に限れば同1・58を残した。広島は救援防御率3・65、DeNAは同3・12。比較しても、阪神の強さが際立っている。8月は、のべ92人で79回2/3を守り抜いた。9月も強力なブルペンが阪神を支えるとみている。

 岡田監督もうまくブルペンに待機している投手の持ち味を生かした継投策を取っている。「ここが勝負どころや」と独特の勝負勘で判断したら、総動員をかけ1人必殺の継投で勝負をかけるのが8月の特徴だった。8月11日のヤクルト戦では1―1の同点で迎えた8回に島本、岡留、及川、馬場と1イニングに4投手を動員して無失点に切り抜け、その裏の勝ち越しにつなげた。

 同26日の巨人戦でも7回に桐敷―加治屋―岩貞とつないだ。巨人に3点を許したものの、リードは許さなかった。同30日DeNA戦も6回2死から加治屋―島本―石井―ブルワー―桐敷とつなぎ、勝利にはつながらなかったが、ブルペンは無失点で8月を締めくくった。

 岡田監督の継投と言えば、05年の優勝に象徴される「JFK」が代名詞だった。相手にラッキーセブンをつくらせないために奪三振能力が高い藤川を7回に配置したのは革命的だった。だが、23年の継投は過去の成功体験にとらわれずに、柔軟な起用に踏み切っている。個々の持ち味を生かし、負担も分散させながら、試合の流れに応じた継投に変わっている。安藤、久保田両投手コーチの意見も尊重しながら、勝負どころでは出し惜しみせずに投入する。各投手も試合の中で自分がどんな役割を期待されているかが分かっている。それが8月の救援防御率につながっているとみている。

 8月で言えば、回またぎができるのが桐敷で、走者を置いたピンチの場面では加治屋、島本、石井。回の頭からは岩貞、ブルワーというのが基本パターンだった。左が岩崎、岩貞、桐敷、島本、さらに及川と豊富なのも阪神の強みだ。逆に戦う相手から見ると、継投パターンは固定されてないから、誰が出てくるのか予測しにくい。組みにくさを感じていると思う。

 勝負の9月は、またさらにブルペンを進化させるはず。選手の疲労度、調子を見極めながら、最適な継投を続けていくと思う。質量ともに、それに対応できるスタッフがそろっている。浜地が合流したのも、次の一手をにらんでのものだ。29日のDeNA戦で2被弾した岩崎に関しても、岡田監督は慌てることなく7球で交代させた判断が印象的だった。無理使いをしなかった判断が今後につながるとみている。(スポニチ本紙評論家)

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