浦学、三浦貴さんに弔い4強 13年から母校でコーチも大腸がんで24日に45歳で死去

[ 2023年7月26日 05:00 ]

第105回全国高校野球選手権埼玉大会準々決勝   浦和学院7-0埼玉栄 ( 2023年7月25日    大宮公園 )

<埼玉栄・浦和学院>準決勝進出を決めて喜ぶ浦和学院の選手たち(撮影・尾崎 有希)
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 第105回全国高校野球選手権(8月6日開幕、甲子園)の出場校を決める地方大会は25日、24大会で47試合が行われた。埼玉大会の準々決勝では浦和学院が、埼玉栄に7―0で勝利。13年からコーチを務め、24日に45歳で亡くなった同校OBで巨人などでも活躍した三浦貴さんにささげる白星だった。

 今日だけは負けられない。前日24日に志半ばで亡くなった恩人のためにも。浦和学院ナインは投打で圧倒し、2年ぶりの甲子園へあと2勝。森大監督は「最後まで浦和学院を支えてくれていたのでいい報告ができれば。今の浦和学院には三浦先生の魂が宿っている。選手もそう思っている」と神妙な面持ちで語った。

 OBで巨人などで活躍し、13年からコーチを務めていた三浦貴さんが24日に死去。指揮官も“兄弟子”と慕ってきた大きな存在へ、どうしても白星を届けたかった。体調不良から復活し、今大会初スタメンだった5番の三井雄心(2年)が、2安打1四球など打線は11安打7得点と機能。6回からマウンドへ上がった最速145キロ右腕・渡辺聡之介(3年)も、気迫の投球で4回無安打に封じ「直球主体に思い切り投げ込めた」と振り返った。森監督は「まだ選手には話していない」としたが、ナインも三浦さんへの思いを胸に一丸となった。

 三浦さんが浦和学院時代に監督だった前監督の森士氏も観戦した。23日には自宅療養していた三浦さんの元を訪れ、強く手を握り「決勝までへたるなよ」と声をかけた。「大会が終わるまでは大丈夫かと思っていたが、急に逝ってしまって残念」と教え子の早すぎる死を悔やんだ。

 コーチとしては「魂」という言葉を使って熱く指導した三浦さん。森前監督時代の18年夏の甲子園では、大会期間中の練習で打撃投手を務め、顔面に打球が当たり緊急入院したこともあった。それでも準々決勝の大阪桐蔭戦は病院からノッカーとして甲子園に駆け付けた。森前監督は「本当に強靱(きょうじん)的な。野球人としては熱い指導者でしたね」と故人をしのんだ。

 亡くなる2週間前までグラウンドに立ち、最後まで野球を愛した三浦さん。「三浦先生の思いを尊重して大会に集中したい」。森大監督は、天国に報告する2年ぶりの頂点を誓った。(村井 樹)

 ≪野手転向で話題に≫巨人、西武でプレーした三浦貴(みうら・たか)さんが24日、大腸がんのため亡くなった。45歳だった。昨年3月にがんが見つかり、治療に専念。一度は現場復帰したが、6月から再び体調を崩していた。埼玉県出身で浦和学院から東洋大に進み、00年のドラフト3位で巨人入り。1年目からリリーフとして活躍し、03年からは野手に転向した。投手では52試合で3勝2敗、防御率3・56、打撃成績は134試合で打率・193、1本塁打、5打点。13年7月から浦和学院のコーチを務め、社会科の教員でもあった。

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