西武・中村 プロ野球史上初2000三振 次打席で460号 スラッガーの真骨頂

[ 2023年4月30日 05:30 ]

パ・リーグ   西武2-8楽天 ( 2023年4月29日    ベルーナD )

<西・楽>4回、空振り三振に倒れる中村(撮影・尾崎 有希)
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 希代のホームランアーチストが、強打者の証となる大記録をつくった。西武・中村剛也内野手(39)が29日、楽天戦の4回に空振り三振を喫し、プロ野球史上初の通算2000三振に到達。次打席の5回は2試合連続、通算460号となる6号2ランを放った。追い込まれても三振を恐れず、現役最多の本塁打を量産するスラッガーの真骨頂だった。 

 三振か、本塁打か。両極端なスタイルが中村の魅力だが、その領域に到達するまでは苦悩も葛藤もあった。

 1、2軍を行き来していた若手時代。「いろいろありましたよ。でもね“追い込まれてどうせ打てないならしっかり振ろう”と思ったんです」。行き着いた「逆転の発想」だ。

 中村の三振は潔い。スケールの小さい、当てにいく打撃はしない。2ストライクから豪快なスイングを貫く。

 まさにこの日がそうだった。4回に藤平からフォークで空振り三振。プロ野球史上初の通算2000三振を記録し、悔しそうにベンチに歩いた。次打席の5回もフルカウントからフルスイング。左翼ポール直撃、2戦連発の左越え6号2ランを放った。

 03年にデビューしたが三振が多く1軍定着できなかった。首脳陣にバットを短く持つよう指示されたこともある。転機は08年。2軍監督だった渡辺久信GMが1軍監督に就任したことだった。指揮官から「三振してもいいから、たまにホームランを打ってくれ」と声を掛けられた。指揮官は、将来の4番候補が2軍に落ちるのを恐れて打率を求める打撃になるのが嫌だった。「もう使うから。そういう気持ちは一切なくしていい」と念を押し、不安を取り除いた。

 前年の7本から46本塁打に飛躍し初の本塁打王。三振数も71からリーグトップの162となったが、リーグ制覇、日本一に貢献した。現役最多の460本塁打は同2位の巨人・松田の301本を159本も引き離す。「基本は三振したくない。でも、崩されて当てにいくようなバッティングはしたくない」と哲学を明かした。

 460本塁打のうち3分の1に近い143発(約31%)が2ストライクからの一発。追い込まれてからもスタイルを変えない証だ。2000三振を渡辺GMは「勲章だよ。そのぶんホームランを打ってる」と評した。6度の本塁打王は「これからも…」と言った後に「これからは、三振しないように頑張る。別に勲章だとは思っていない」と言い換えた。

 8月に40歳。髪も少し白くなった。通算出場は1973試合。「三振の方が多いから。(打撃を)追いかけていきます」と生きざまを示した。(神田 佑)

 ≪三振を恐れぬフルスイング≫中村(西)が29日楽天戦の4回に藤平から空振り三振を喫し、プロ野球史上初の通算2000三振を記録した。初三振は03年9月28日の日本ハム戦でミラバルから。歴代2位は清原和博(オ)の1955三振。中村の三振を投手別に分けると、507人から記録し、最多は則本(楽)の36だ。なお、メジャーではレジー・ジャクソン(アスレチックス)の2597を筆頭に7人が2000三振を記録している。中村は2000三振の一方で歴代14位の460本塁打をマーク。そのうち、2ストライクからは、この日の1本を加え143本と、三振を恐れぬフルスイングで多くの一発を打っている。

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