阪神・村上、無双を支える唯一無二の「真っスラ」 アマ時代からの得意球の進化ぶりに巨人・岡本和も驚がく

[ 2023年4月30日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神7-0ヤクルト ( 2023年4月29日    神宮 )

<ヤ・神>2回、村上宗を二ゴロに打ち取った村上(撮影・岸 良祐)
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 阪神・村上頌樹投手(24)が29日、ヤクルト戦で8回2安打無失点の快投を披露して今季2勝目を挙げた。侍ジャパンの主砲・村上を3打数無安打に封じて初の“村上対決”も完勝して開幕からの連続無失点イニングも「25」まで伸びる無双ぶり。虎の「村神様」の活躍でチームは今季2度目の3連勝、最多タイとなる貯金4とし、4月の勝ち越しも決めた。

 昨年まで幾度となく痛い目にあってきた「4番・村上」の前に頼もしく立ちはだかったのは虎の村上だった。

 「(ヤクルト・村上は)そこまで調子は上がってないので、どんどん攻めていこうと。良い形で抑えられて良かった」

 2回、先頭で対峙(たいじ)すると一、二塁間への当たりでベースカバーに入った。中野の送球に対して懸命に足をのばしてアウト。高津監督がリクエストを要求するほどの僅差のプレーも、右足のつま先が残っていた。7回も2死からフォークで空振り三振。無安打に封じ村上対決に完勝した。

 「真っすぐでカウント取れたのが楽でしたし、そこが良かった」。この夜も快調にアウトを量産し、1点も許さなかった。開幕からの連続無失点イニングは「25」まで伸び、前日28日に「20」で止まった令和の怪物・佐々木朗(ロッテ)も上回る快挙。今、日本球界で最も難攻不落のピッチャーといえるだろう。

 昨年まで1軍で通算2試合、計5回1/39安打5四球10失点だった“グリーンボーイ”が突如として並み居る強打者たちを次々になぎ倒している理由は何なのか。“村上無双”のエッセンスとなっているのが「真っスラ」だ。直球がナチュラルにスライドし、打者は手元での鋭い曲がりに対応できない。使い手は球界にも数多くいる。ただ、村上の真っスラは唯一無二。今季3登板でコンビを組む坂本が“魔球”の一端を明かす。

 「“真っスラ”は桑さん(OBの桑原謙太朗氏)も凄かったですけど、軌道は全然違う。村上のは浮き上がってくる感じなんで」。オーバースローでやや沈み込むような投球フォームを駆使してリリースのアングルは低い。フォークも持ち球とあって、高低を使って打者の目線を惑わせてもいる。

 真っスラはアマチュア時代からの持ち味で、7回完全投球を見せた12日の巨人戦では智弁学園の先輩・岡本和が打席で「真っスラえぐなってる」とつぶやいたほど。プロの打者の首をひねらせるまでの宝刀に進化した。

 規定投球回にも到達し、言うまでもなく防御率0・00は両リーグトップ。「野手の皆さんも守ってくれて、打ってくださって楽に投げられてる。これを続けていきたい」。ミスターゼロの進撃は止まりそうにない。 (遠藤 礼)

 ○…村上(神)が8回を2安打無失点に抑え、今季2勝目。前回登板の4月22日中日戦でプロ初勝利と完封をマーク。2リーグ制以降の阪神で、プロ初勝利が完封だった10人のうち、次戦も勝利は村上が初めて。これで今季初イニングからの連続無失点は25回まで伸びた。開幕からの連続イニング無失点記録は39年高橋敏(阪急)の38回1/3だが、セ最多は同じ阪神の中井悦雄が63年に達成した31回となっており、次戦で記録更新に挑戦する。

 ≪幻の完全試合演じた思い出の地で快投≫○…神宮球場は東洋大時代に快投を演じた思い出の地だ。3年生だった19年5月22日の東都大学春季リーグ戦・亜大戦で、9回2死まで完全試合。27人目の打者に四球を与え、0―0で延長戦に突入した10回1死から安打を浴びてノーヒットノーランの夢もついえたものの、延長11回1安打14奪三振の完封勝利を果たした。それから4年。プロ初の神宮での登板へ向けて、「そのイメージを持ちながら投げたい」と意気込んでいた。智弁学園(奈良)では16年の選抜大会で優勝の中心にいた右腕は、アマチュア時代の実績に負けない輝きを放っている。

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