落合博満氏が明かす川崎憲次郎の開幕投手の真相　04年監督デビュー戦で打った超奇策

落合博満氏
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　現役時代に3冠王を3度獲得し、監督としては中日を4度のリーグ優勝に導いた落合博満氏（69）が21日、自身のYouTube「落合博満のオレ流チャンネル」を更新。中日監督就任1年目の04年の開幕戦について振り返った。

　4月2日の開幕・広島戦（ナゴヤドーム）が落合監督にとって、公式戦初采配となった。まず周囲を驚かせたのが、開幕投手に川崎憲次郎投手を起用したことだった。「(ヤクルトから)FAで来て3年間、1回も投げてないっていうことでしょ。どっかで投げさせなきゃいけないなっていうことを考えたら、崖っぷちに追いやらないとその気にならないだろうなということで開幕投手」と起用の理由を説明した。通達の時期はなんと「1月3日」だったという。監督就任後に顔を合わせたかどうかも「会ってたかな。記憶は定かではない」という中での決断だった。「川上憲伸が前の年（03年）、肩の不調（03年５月に右肩関節唇損傷で離脱）で途中から投げてなかったっていうことがあってね。まぁ普通であれば、川上憲伸なんだろうけども、あえて故障明けの年っていうのはどうかなと思ってね」というのも理由だった。

　当時は予告先発もなく、試合前に球場アナウンスをされると、ファンからもどよめきが起こった。「（投手コーチの）森繁和が知ってたよ。それだけには言ってたからね。（他は）誰も知らない。あとは川崎憲次郎が知ってるだけ。だって、そんな企業秘密、誰が喋るの？情報戦ですよ、野球っていうのは」と完全に情報漏えいを防いだ中で、オープン戦の調整も行われた。

　「(1月)3日の日は実家にいたみたいだけども、5日の日からもうナゴヤ球場来て練習してたみたいだよ」と落合氏。「“ダメだったら（開幕）10日前に連絡よこせ”とは言っといたけどね。順調に仕上がってはきてたと思うよ。逆算して10日、10日、10日で、（オープン戦を）投げさせてたっていうのはある」と調整にも配慮。川崎も必死の調整で応えていった。

　痛み止めの飲み薬と座薬を併用して1274日ぶりの1軍マウンドに開幕投手として立った川崎は、1回1/3で5安打5失点でKOされた。それでもチームは0―5から打線が奮起して8―6で勝利した。「監督1年目の最初の試合だからね。まして川崎を先発で使ったっていうんだから、鮮明に覚えてますよ。他の試合はほとんど忘れたけども」と懐かしそうに振り返った。