阪神・近本 バース&王貞治に並ぶ25戦連続安打にも拙攻に笑顔なし「勝つために打ち勝つために走る」

[ 2022年6月30日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神2―4DeNA ( 2022年6月29日    横浜 )

<D・神>3回、安打を放ち笑顔を見せる近本(撮影・会津 智海)
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 阪神の近本光司外野手(27)が29日のDeNA戦の3回に中前打を放ち、25試合連続安打をマークした。3冠王を2度獲得したOBのランディ・バース、通算868本塁打の王貞治(巨人)ら、偉大な選手の記録に肩を並べた。チームは10安打を放ちながら決定力に欠き、5安打の相手に惜敗。敵地で痛恨の連敗を喫し、借金は6に戻った。 

 近本がついにレジェンドの域に足を踏み入れた。3回1死一塁、DeNA先発の石田が投げた初球の134キロカットボールに詰まりながらも、中前へ落とした。3冠王を2度獲得した“神様”バースが83年にマークした球団4位の記録、25試合連続安打に並んだ。それは同時に、世界の本塁打王の王貞治(巨人)が68年にマークした数字でもあった。

 「狙いとか状況とか、いろいろ考えた上で(初球から打って出た)。まあ、打つボールではなかったと思っているんですけど」

 一塁ベース上で苦笑い気味の笑みを浮かべたように、球史に名を残す偉大な選手に肩を並べても、喜びに浸ることはなかった。両者の活躍は、94年に生まれる前の出来事で、ピンと来なかったのではない。試合に敗れたからだ。

 この安打で一、三塁に好機を広げたものの、佐藤輝の遊飛と、大山の一邪飛で、無得点に終わった。逆に相手には、4回無死満塁からソトと嶺井に連続で犠飛を打たれ、あっさりと2点を勝ち越された。序盤に得点しながら中盤以降に沈黙するのは、前夜と同じパターン。10安打を放ちながら5安打の相手に敗れた点では、矢野監督の歯がゆさは、前日よりも上だった。

 「こっちは10本ヒットを打って、向こうは5本で4点っていうのは、効率的にね。そこでしっかり還すというのが、できていないかなというのがあるけど、流れとかもどうしてもある」

 連続試合安打を伸ばし、今季14個目となる盗塁も決めた近本も、決定打を打てなかった点では悔しさが残った。得点圏に走者を置いた初回と7回は三振に倒れた。勝利に結び付かなければ意味がないとばかりに、「勝てばいいかなという感じ。試合のためにやっているだけなので、盗塁のためとか、数のためとか、記録のためとかは全然考えてない。ただ勝つために打ち、勝つために走る。それだけだと思っている」と笑顔はなかった。

 痛恨の連敗で借金は6。DeNAに敗れることで、首位独走のヤクルトのマジック点灯が阻止されている皮肉も悔しい。やはり、勝利に勝る喜びはない。 (倉世古 洋平)

 ○…近本(神)が3回の中前打で5月28日のロッテ戦から継続中の連続試合安打を25試合に更新した。セ・リーグで25試合以上は17人目で、68年王貞治(巨)や83年バース(神)に並ぶ歴代12位タイ。球団では歴代4位タイで、最長の11年マートン30試合にはあと5試合。プロ野球記録の79年高橋慶彦(広)33試合もあと8試合に迫る。なおパは71年長池徳二(阪急)の32試合を筆頭に25試合以上が8人。イチロー(オ)は94年に2度記録した23試合が最長だったが、同年これらを含む69試合連続出塁のプロ野球記録を樹立している。

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2022年6月30日のニュース