中村武志氏 ロッテ・朗希は遊び球が必要ないがゆえに三振量産…速さと制球異次元の両立

[ 2022年4月18日 05:30 ]

パ・リーグ   ロッテ0―1日本ハム ( 2022年4月17日    ZOZOマリン )

<ロ・日>6回、ヌニエスから三振を奪いグラブを叩く佐々木朗(撮影・白鳥 佳樹)
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 【中村武志氏 視点】佐々木朗が8回で交代したのは井口監督の方針だし、仕方ない。0―0の展開だからと思っていたが、たとえ勝ち越していても投げさせなかったというし、徹底している。

 最大の良さは、160キロを超えるスピードがありながら、コントロールもいいこと。これを両立できる投手は見たことがない。真っすぐとフォークをストライクゾーンに投げ、遊び球は一切ない。いや、使う必要がない。だから、少ない球数で三振も多く奪える。

 打者が打てない理由は球の軌道にもある。1メートル90の長身で真上から投げ下ろし、手も長い。約25センチのマウンドの高さもあるから、リリースポイントは2メートル近いはずだ。角度があるから打者は「線」ではなく「点」で捉えることしかできない。日本ハムの打者は高めの直球を見逃す傾向があったが、球の出どころが高いからボールに見えてしまうのだろう。

 そして直球と同じ腕の振りから、140キロ後半のフォークを落とす。それも指先の力の入れ具合で、落ちる軌道を変えている。フォークがシュート回転したり、スライダー回転するから、一つの球種がいくつにもなる。器用なピッチャーだ。

 高卒ルーキーの松川も先輩の佐々木朗をよく引っ張っている。ミットの位置を見ると、打者が打ってこない時はストライクゾーンの中で甘めに構えて、ジェスチャーも交えて「どんどん投げてこい」と。危ないと感じた時や追い込んだ時と違い、メリハリをつけている。直球がシュート回転することも利用し、特に左打者の内角を厳しく攻めていた。

 それにしても末恐ろしい。この日の序盤は前回よりも制球に多少のばらつきはあったが、安打どころか四球も出さない。対戦相手は何でもいいから走者を出し、佐々木朗に自分のペースで投げさせないことしか手はない。(スポニチ本紙評論家)

 《ストライク率&空振り率両リーグトップ》佐々木朗のストライク率(72.7%)と空振り率(24.7%)はいずれも両リーグトップ。完全試合を達成した前回は78.1%で、この日は102球中72球がストライクで70.6%だった。空振り率は唯一20%を超え、球種別でもフォークは断トツの44.3%を記録している。ちなみにメジャーのトップはストライク率がヒル(レッドソックス)の77.1%、空振り率がウォーカー(メッツ)の30.0%。大谷(エンゼルス)はそれぞれ62.0%と15.3%だ。

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2022年4月18日のニュース