本紙評論家の槙原寛己氏、“敬遠の仲”日本ハム・新庄新監督に期待 指導者向きの準備力&言葉の力

[ 2021年10月29日 21:35 ]

1999年6月12日、阪神―巨人戦の延長12回1死一、三塁、巨人・槙原の敬遠球を三遊間にサヨナラ打する阪神・新庄
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 犬猿ならぬ「敬遠の仲」。巨人OBの槙原寛己氏(58=スポニチ本紙評論家)が、新庄新監督の手腕に大いなる期待を寄せた。99年6月12日の対戦では敬遠のボールをサヨナラ打された槙原氏。バイクに乗る、天井から登場、マスクで変身…と奇抜な発想が目立つ新庄新監督だが、その裏には冷静な計算もあると語った。

 さて、なにを仕掛けてくるか。新庄新監督。非常に楽しみだ。来春のキャンプ、そして開幕戦。誰に遠慮することなくどんどん飛ばしていってほしいね。

 99年6月12日。私は阪神・新庄に敬遠球をサヨナラ打された。誰も想像できないことをやってのける。だから面白い。実は1カ月ほど前、私のYouTubeチャンネル「ミスターパーフェクトチャンネル」の企画で対談をさせてもらった。当然、22年前のことも振り返ったけれど、決して行き当たりばったりではなく、しっかりと考えて準備をする。そんな「新庄像」を改めて感じたよ。

 敬遠球を打った時も、その2日前の広島戦でのフリー打撃で5球だけ、高めのボール球を打つ練習をしていたという。新庄は「3球成功した」と言っていた。世間のイメージは奇想天外かも知れないが、いろいろ考えつつ、冷静に自己プロデュースをしている。大リーグ移籍も最初から「プレーするのは3年」と決めていたという。事前の準備とプランニング。そんな姿勢は指揮官としての采配にも生きると思う。

 本人とは初めてゆっくり話をした。今後について「新しい、やりたいことが見つかった。でも言えません」と。何度も突っ込んだけど教えてくれなかったね。そんな新庄は人を引きつける、相手に聞かせる力のある話し方をする。このコミュニケーション能力も大きい。監督には「言葉の力」も必要。みんなを魅了する言葉をしっかり話せるし、選手やファンへの発信力にも期待できる。

 守備の話もしていた。自身が外野の名手。両翼100メートルの新球場エスコンフィールド北海道で、守れて足の速い選手を好みそうな気もする。プレーのことはもちろん「監督はこういう人」という固定観念も打破してほしい。日本ハムの雰囲気もがらりと変わる。新庄監督による総合プロデュースが本当に楽しみだ。(本紙評論家)


 ◆新庄新監督の敬遠球サヨナラ打 阪神時代の99年6月12日の巨人戦(甲子園)。4―4の延長12回、1死一、三塁で巨人の守護神・槙原に敬遠された新庄だが、2球目の外角ベルト付近の直球に踏み込んでスイング。打球は三遊間を抜けるサヨナラ打となった。巨人は左足が打席から出ていたと抗議するも実らず。新庄は「これはオイシイ、と。ショートがセカンドについていたんで転がしたらいけると思った」。槙原は「(足が)出たよ!絶対に」と叫んで帰りのバスに乗り込んだ。

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