【大野豊氏―広島・栗林 特別対談(上)】森下との比較は覚悟の上「モチベーション、原動力にしたい」

[ 2021年3月3日 06:00 ]

 <広島> 対談する大野豊氏(左)と栗林  (撮影・成瀬 徹)
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 沖縄春季キャンプを終えた広島ドラフト1位・栗林良吏投手(24=トヨタ自動車)が、球団OBで本紙評論家の大野豊氏と対談した。「ドラ1の宿命」としてさまざまな重圧に打ち勝つ覚悟を激白。昨年同1位・森下との比較、偉大な背番号20、抑え候補として期待される責任感まで包み隠さず本音を明かした。(構成・河合 洋介)

 大野 コロナで話す機会がなかったから、初めましてだね。

 栗林 栗林です。よろしくお願いします。

 大野 栗林投手は先発も中継ぎもできるけど、僕も現役時代は先発、中継ぎ、抑えなどいろいろと経験させてもらった。大切だと思うのは、どんな起用法でも常に自分の球に自信を持てる状態にしておくこと。そして、気持ちの切り替えが非常に重要なんだよね。

 栗林 社会人のころは切り替えが苦手でした。でも、プロが決まってから「切り替えが大事だよ」とずっと言われてきた。キャンプ中は、練習でダメでも次の日に引きずらないようにと決めてやっていたので、シーズン中も継続してできればいいなと思います。

 大野 切り替えは本当に難しい。僕は江夏さんが日本ハムに移籍したことで、代わりに抑えになったんだけど、常に江夏さんと比較された。「おまえは投げるな」とヤジられた。でも、それをはね返そうと努力した経験が自分を救ってくれた。私はテスト生だったけど、栗林投手はドラフト1位。プレッシャーに負けない気持ちの強さを持ってほしい。

 栗林 (昨年ドラフト1位の)森下と比較されることは、しょうがないと思っています。これはドラフト1位としての宿命。森下に負けないように……ということをモチベーション、原動力にしてやっていきたいです。

 大野 森下は森下、栗林は栗林。自分の持ち味、個性をしっかりと出し切って成長してほしいと思っているけど、やっぱり森下は意識する存在かな?

 栗林 大学の日本代表として一緒にやらせてもらって、連絡先も知っていました。プロになってからも助けてくれる存在ですけど、森下の活躍が刺激、いいプレッシャーになっています。去年の森下以上の成績を残せたらなと思っています。

 大野 北別府、永川コーチがつけた背番号20もプレッシャーだよね。重みのある番号だけど、20番といえば「カープの栗林」と思ってもらえるような投手になってほしい。

 栗林 北別府さんはチーム歴代1位の勝利数で、永川さんはセーブ数で1位。僕もチーム一番の記録を残したい。そうなれば、プロ野球選手になって良かったと思える。何か一番の記録を残せるように意識して日々努力したいと思っています。

 大野 プレッシャーはあると思う。でも、いまはファンの皆さんが応援してくれて、ヤジる人もいないだろうから大丈夫(笑い)。

 栗林 これまでで言えば、都市対抗とかでプレッシャーを感じながら投げる機会がありました。そうやってプレッシャーを経験できたことで、ここまで来られたと思っています。経験を無駄にしないように、忘れないように。いい経験も悪い経験も、自分の成長につなげていきたいです。

 大野 監督は抑えも含めて、勝ちパターンの一角として期待しているよね。

 栗林 中継ぎをやる以上は抑え、セットアッパーと役職の名前のあるところで投げたいです。大事な試合、場所で投げさせてもらえるのが投手としては理想なので、そこをつかみ取れるように頑張りたいと思います。

 ※特別対談(下)に続く。

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2021年3月3日のニュース