エンゼルス・大谷、今季初実戦で2安打 本紙通信員が見た進化、構え高く背筋伸ばし選球眼向上

[ 2021年3月3日 02:30 ]

オープン戦   エンゼルス4-4ホワイトソックス ( 2021年3月1日    テンピ )

<エンゼルス・ホワイトソックス>今季初の実戦で2安打を放った大谷(エンゼルス提供)
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 エンゼルスの大谷翔平投手(26)が1日(日本時間2日)、ホワイトソックスとのオープン戦に「2番・DH」で実戦に初出場し、3打数2安打、2得点と好発進した。自身にとって356日ぶりの有観客試合で、メジャー4年目にして初のオープン戦マルチ安打。昨季と比べて違いが顕著に表れたのは打席での構えだった。大リーグ取材歴27年の笹田幸嗣通信員(57)が、今季の進化を分析した。

 大谷が打撃で重視するのは構えだ。打率.190と苦しんだ昨季。19年9月に左膝膝蓋(しつがい)骨の手術を受けた影響で「どうしても上体でさばきにいくしかなかった」という。今季は軸足により重心を乗せることを意識し「今は(軸足を)より使えている感覚も戻っている」。左膝の不安が消え、構えに迷いがない。以下の2点にそれが見える。

 (1)より高くなったフライングエルボー 左脇を空け、肘を高く上げる「フライングエルボー」と呼ばれる構えは、トップの位置がやや高くなった。背筋が伸び、地面に垂直に近い立ち姿に。「バランスを保ちながらスイングできた時は、当然良い見え方で見送れている」と自己分析した。第1打席の右前打は直前のスライダーを2球連続で見極め「途中まで打ちにいって、打てそうだなと思いつつボールなので打たない、という判断ができている」とし、「そういう見え方ができている時はいい結果が出る」と胸を張った。

 (2)素早くトップの位置が決まる安定感 今年は打席に入ると素早くトップの位置が決まる。打席での立ち位置が決まるから、ボールとの「距離」をしっかり確保できる。特に顕著だったのが2打席目の左前打で「多少差し込まれた分、打球が上がらないで単打になったけど、ミスした中でもそういう軌道に入っていける。距離が取れている」と手応えを口にした。

 大谷は「構えに入る前にしっかりと投手が良い角度で見えている。構えた時にも同じように見えて、踏み込んだ時にも同じように見える。そういう角度で見えている時は比較的良い」と語る。私が渡米前に取材していた巨人・高橋由伸は「投手が投げる前から戦いは始まっている。投手に合わせるのでなく、自分から攻めていく」が信条で、大谷の言葉もこれに重なる。投手をにらみつけるような現在の打席でのたたずまいには、高い集中力とともに、凄みも感じる。左膝の手術から約1年半。本来の姿を取り戻し、さらなる進化を遂げつつある過程が、その「立ち姿」から見て取れた。

 ≪本紙に語っていた、構えは「一番大事」≫大谷は、19年の元日付で掲載した本紙のインタビューでも、「構え」の重要性を強調していた。

 22本塁打を放って新人王を獲得した18年のメジャー1年目は「すり足」に近い新打法が注目されたが、自身の連続写真を見ながら最大のポイントに挙げたのはそこではなく「一番大事なのは“構え”ですね」ときっぱり。

 「(調子が)良い時は投手がモーションに入る前に構えている段階で“もうこれは打てるな”という感じがする」と続けた。インパクトまでで「打撃自体は終わり。あとはスイングするか、止めるかくらい」というのが持論だ。

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2021年3月3日のニュース