広島・田中広 FA権行使せず残留「もう一回やってやろうという気持ちになれた」

[ 2020年12月1日 05:30 ]

FA権を行使せず残留を決断し、笑顔で会見場に入る広島・田中広(代表撮影)
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 広島の田中広輔内野手(31)が30日、今季取得した国内フリーエージェント権を行使せず、残留すると表明した。球団事務所で開いた会見で「やってきたことを評価していただいた。カープというチームが好き。もう一回やってやろうという気持ちになれたので残留を決めた」と語った。

 シーズン終了翌日の12日から始まった複数回に渡る残留交渉。球団は、正遊撃手としてリーグ3連覇に貢献した実績やリーダーシップなどを評価し、慰留に努めてきた。細部の詰めは残すものの、2年総額4億円(推定)で大筋合意した。

 「想像した以上に悩んだし、考えた」。帰路に立ち、プロ野球人の誰もが抱く他球団の評価を聞きたい葛藤。気持ちが揺れ動く中、佐々岡監督や河田新ヘッドコーチから心に響く声が届く。「うれしかった。応えたいという気持ちになった」。26日夜に決断し、翌27日に球団に伝えた。

 右膝手術明けの今季は、出場112試合で打率・251、8本塁打、39打点。選手会長に就任したチームも2年連続でBクラスに沈み「悔しいシーズン。何とかもう一度強いカープを…という思いがあった」ことも心の迷いを断ち切らせた。

 率先垂範へ。手応えはある。疲労がたまると右膝に覚えていた違和感。8、9月になると徐々に消え「プレーしていても不安がなくなった。来季はより楽しみ」と強調する。抱負にも力がこもる。

 「言動で引っ張っていきたいし、自分のパフォーマンスをしっかり発揮できるよう準備したい。やってやるという気持ちしかない」

 ナインの信頼厚い31歳。来季巻き返しへ、背中で引っ張る。
(江尾 卓也)

 ○…広島・佐々岡監督は田中広の決断を「チームの要としてやってほしいと伝えた中で、こういう結果になってうれしい」と手放しで喜んだ。交渉役の鈴木清明球団本部長は「厳しいコロナ禍で感染者が出なかったのは広輔がよくやってくれたから」。選手会長として称えた上で「来年も二遊間は盤石。これはすごく戦力になる。バッティングも後半を見ると、戻ってきているというのがある」とし、戦力面での復調、貢献に期待感を示した。
 

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2020年12月1日のニュース