早大・早川 開幕戦で衝撃17K!プロスカウト陣絶賛「化ける素質ある」最大7球団1位競合も

[ 2020年9月20日 05:30 ]

東京六大学秋季リーグ1回戦   早大7―1明大 ( 2020年9月19日    神宮 )

<早大・明大>ドラフト目玉の本領発揮! 9回1失点17奪三振で完投勝利を収めた早大の早川(撮影・河野 光希)
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 ドラフトの目玉が、勝負の秋にド派手なスタートを切った。早大の最速155キロ左腕・早川隆久投手(4年)は19日、東京六大学秋季リーグ開幕戦となる明大戦で、先発全員を含む17奪三振。9回2安打1失点で完投勝利を挙げ、明大・入江大生投手(4年)とのドラフト1位候補対決に完勝した。バックネット裏の12球団のスカウト陣も絶賛。応援団がスタンドに戻り、観客の上限が増えて4200人が訪れた神宮を沸かせた。 

 実りの秋は進化の秋。最速155キロの球速だけじゃない。早川は3回、8番からの3人はいずれもカットボールで三振斬り。4回1死から対峙(たいじ)した3番・丸山には、この日最速の152キロで見逃し三振に仕留めた。硬軟織り交ぜた投球が成長の証だ。

 「力で投げるというより、コースをしっかり意識したことが結果につながった。今日は体重が前に乗れないので真っすぐの球威は出てこないなと。低めを丁寧にと意識した。カットと直球のコンビネーションが良かった」。123球を投げ、3~4回の5者連続を含む17奪三振。最後も空振り三振で締めた。

 コロナ禍での練習自粛期間。短・中・長距離と分けた走り込みで下半身を鍛え、シャドーピッチングや遠投でフォームを固めた。3月22日には、巨人2軍相手に5回9安打4失点と炎上。その姿を見ていた、スカウトを兼務する巨人・水野雄仁巡回投手コーチは「早川君のいい時と悪い時を見られて良かった。複数チェックできた」と満足げに話した。

 春先は変化球のフォームが緩む悪癖を突かれたが、半年で欠点を矯正しつつある。楽天の後関昌彦スカウト部長は「(DeNAの)今永クラスか、それ以上に化ける素質はある」とうなった。10・26のドラフトまで、あと1カ月あまり。各球団とも上位候補を絞り込んでいる途上だが、最大7球団程度の競合になる可能性もある。

 ロッテなどで通算117勝を挙げた小宮山悟監督は「球の速さ、制球力に、投球のコツをつかんでランクが上がったと思います」と評価。その上で、尻を叩いた。「来年プロで活躍するには、もう1ランクか2ランクレベルを上げないとローテーションで投げるのは無理かな。残りの戦いでどれだけ覚えることができるか。おいおい教えていこうと思います」。リーグ戦中に潜在能力を引き出し、即戦力として送り出す。

 東京六大学野球は秋季リーグ開幕とともに、観客の上限を3000人から5000人に拡大。4200人の前で153キロ右腕・入江との注目対決を制しても、早川は冷静さを失わない。「この勢いをチームで感じながら、一戦一戦、地に足を着けて戦っていきたい」。ヒートアップする周囲をよそに、目の前の戦いに集中。その姿勢こそが、自らをさらに成長させる。(伊藤 幸男)

 ▼ヤクルト・小川淳司GM 真っすぐの走り、制球など今年No・1でしょう。競合しても1位指名に値する投手。(抽選で)いくチームは、外れたらどういう戦略が必要か考えないといけない。

 ▼DeNA・八馬幹典スカウト ボールの質、体のバランスがまた良くなった。5回で10三振でしょ。僕は今年No・1投手だと思います。当然抽選(1位競合)でしょう。

 ▼広島・苑田聡彦スカウト統括部長 あれだけのボールの速さ、切れ。コントロール…。1位競合は間違いない。

 【早川隆久(はやかわ・たかひさ)】
 ☆生まれ 1998年(平10)7月6日生まれ、千葉県出身の22歳。
 ☆サイズ&投打 1メートル80、80キロ。左投げ左打ち。
 ☆球歴 小1でソフトボールを始める。木更津総合では甲子園に2年春、3年春、夏の3度出場。U18高校日本代表にも選出された。早大では通算9勝12敗、防御率2.97。
 ☆持ち球 直球、カーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップ(2種類)、ツーシーム。最も得意な変化球はカットボール。
 ☆趣味 予祝関連の読書で「あらかじめ自分はこうなるとか、こうなりたいとかイメージしながら、モチベーションを保ったりする」。
 ☆登板前に聞く曲 クイーンの「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」など。理由は「気分が乗るんです」。

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