金本監督1年目 負けても見せたファン胸高まる「挑戦心」―猛虎の新時代へ 超変革の始まり

[ 2020年4月15日 05:00 ]

開幕よ、来い――猛虎のシーズン初戦を振り返る

16年3月25日、2番に横田(右奥)を従え、先頭で打席に立った高山が初打席初安打
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 【2016・3・25京セラドーム 阪神2―5中日】敗れてなお、新生猛虎を強く印象づけた。金本知憲が新監督として掲げた「超変革」を随所で見せつけた。

 「怖がらず、攻めて行って失敗してもいいんだから。読まれてもいいし外されてもいい。僕が恐れると選手が恐れ始めるから」

 恐れない。果敢に攻めた。攻撃時のベンチで仁王立ちする勇姿で選手たちを鼓舞した。1番には新人の高山俊、2番には高卒3年目の横田慎太郎を抜てきした。2人とも、これがプロ初出場だった。世代交代の境目に立つ変革期。高卒4年目の北條史也も初めて開幕1軍メンバーに入れた。前年秋に“三顧の礼”で迎えられた監督就任。「一度壊してでも立て直す」の誓い通り実績が皆無と言っていい若い力を前面に押し出した。

 初回。いきなり高山が初打席初安打を放てば、横田は併殺崩れで残った一塁走者として盗塁を決めて先制の本塁を踏んだ。横田は4打席全てで第1ストライクから積極的に打ちに出て、内野ゴロで一塁へ頭から飛び込むなど懸命だった。5回には開幕投手のランディ・メッセンジャーまで二盗に成功。球団では81年の小林繁以来35年ぶりの「投手盗塁」になった。攻撃的な野球で観衆を沸かせた。

 試合前の出陣式では「俺も久々にこのユニホームを着て、緊張している。俺はファイティングポーズを崩さないからみんなも付いて来てくれ! 最強のチームになっていこう!」と呼びかけた。全員でハイタッチを交わして迎えた初陣だった。思いに応えるように選手たちもグラウンドを駆け回った。中盤からメッセンジャーが小刻みに失点を重ねて逆転で敗れても、期待感を強く残した。

 「発展途上のチーム。試合に負けようとも、ファンが納得するような負け方というか、どんどん、チャレンジしていきたい」
 監督としての初勝利は翌26日の采配2戦目。中日を7―3で破り、記念のウイニングボールをつかんだ。高山、横田が2安打ずつで貢献した。以降も在任3年間で打者では大山悠輔、糸原健斗、投手では青柳晃洋、高橋遥人ら若手の登用を続け、いまにつながる礎を築いた。
=敬称略=

 ≪12年目の大役≫開幕マスクは岡崎太一だった。プロ12年目。球団史上最も遅咲きで晴れ舞台をつかんだ。7回に代打を送られるまで4失点。苦心のリードを「1点、1点ということで攻撃のリズムを作るのも難しかった」と振り返った。作戦兼バッテリーコーチだった矢野燿大は「一番の決め手は、がむしゃらさ。それだけのことをやってきた」と理由を説明。若手だけでなく苦労人も「超変革」の象徴だった。

 ▽2016年の世相 熊本地震発生(4月)、オバマ米大統領が被爆地・広島を訪問(5月)、天皇陛下(現上皇さま)が退位の意向を示唆(8月)、リオ五輪で日本勢最多のメダル41個(8月)、広島が25年ぶりのセ・リーグ優勝(9月)、ドナルド・トランプが米大統領選に勝利(11月)【流行語】「神ってる」「聖地巡礼」「ゲス不倫」【漢字】金

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