ニッポンを元気に!ヤクルト・村上の誓い 故郷・熊本地震から4年「誰かの力に」

[ 2020年4月15日 05:30 ]

ヤクルトの村上(球団提供)
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 ヤクルトの村上宗隆内野手(20)が、故郷を襲った熊本地震から4年を迎えた14日、熊本のため、さらに新型コロナウイルス感染拡大で苦しむ日本全国のファンのため、今季の活躍を改めて誓った。被災した熊本城の復旧へ、本塁打数に応じた寄付を行う大砲。アーチ量産の先には、20歳で本塁打王獲得というセ・リーグ史上初の快挙が見えてくる。

 あれから4年。村上は故郷・熊本に向け、そして、コロナ禍で苦しむ日本中の人々に向け、20歳の誓いを立てた。埼玉県戸田市の2軍施設で自主練習に汗を流したスラッガーは力強く話した。

 「まだ、20歳ですが、これから先もいろいろな困難があるとは思いますが、少しでも誰かの力になれる選手になりたいと思います」

 2月に誕生日を迎えたばかりだが、自身のためだけでなく、応援してくれる全ての人の思いを背負う。自身のプレーと、その延長線上にあるチームの勝利で勇気づける。

 あの日を忘れることはない。「2016年4月14日、熊本で地震がありました。当時、高校生でしたが、思い出すのも嫌なくらいの出来事でした」と振り返る。被災時は九州学院の2年生。夜、野球部の練習が終わり、自宅へと自転車をこいでいる時に発生した。学校の体育館やグラウンドは避難場所として被災者に開放され約1カ月間、ボランティア活動などに従事。野球は当然、できなかった。

 故郷にはまだ仮設住宅に暮らす人もおり、復興を手助けしたい気持ちは人一倍強い。地元のシンボル・熊本城の復旧のため、今季の本塁打1本につき一定額を寄付することを公表している。「少しずつ復興も進んで、僕も微力ですがお手伝いをさせてもらっています」。昨年の4・14は巨人戦で決勝ソロを放った。

 昨季は36本塁打、96打点で新人王。8月以降に16本塁打を放ち「そのスイングを開幕からやっていけば、積み上がっていくと思います」と語る。今季は「3割、30本塁打、100打点」を目標に掲げつつ、本塁打は「40本でも50本でも打てれば良い」と支援のためにも量産を狙う。キャンプ中に下半身のコンディション不良で離脱したが、3月1日に実戦復帰。開幕に向けて準備を進めている。

 チームは13日に自主練習が再開されたばかり。練習環境も十分ではなく「僕たちも、なかなか今までのように普通に生活し、仕事をすることができません」という現実もある。それでも、村上にはコロナ禍に立ち向かう理由がある。(黒野 有仁)

 【記者フリートーク ヤクルト担当・黒野 有仁】とにかく勝負強い。昨季、小川淳司前監督(現GM)は対戦相手が一回りした後、村上を1軍に帯同し続けるのか2軍で経験を積ませるのか再考するつもりだった。開幕5カード目の最終戦。見事に本塁打を打ち自身の「将来」を決めた。実は、それが4月14日。その後も不振により首脳陣の中で2軍降格の意見が出たこともあったが、小川前監督は「そういう時に必ず打つんだよ」とシーズン後に振り返っていた。

 2月2日に20歳の誕生日を迎えた。昨季チームで唯一、全143試合に出場した経験を糧に、堂々としてきた印象がある。「4番を打ちたい」と口にするのも、その表れ。今季はチームの顔として、持ち前の勝負強さで、被災地やファンを勇気づける一発を放ってくれると信じている。

 ≪130試合で45本狙える≫村上(ヤ)の昨季の8月以降の本塁打は16本。個人別ではソト(D)と並ぶ両リーグ最多で、両者の同期間の打数を見ると、村上が163で、ソトの167より少なかった。また、その間の出場数は46試合で1試合当たりの本塁打数を出すと0・35。仮に今季が130試合開催され、このハイペースを年間通じて維持できれば、45本塁打まで届く計算になる。

 村上は今季が20歳シーズン。本塁打王に輝くと、1リーグ時代の36年秋の藤村富美男(タイガース)、40年川上哲治(巨)、42年古川清蔵(名古屋)とパの53年中西太(西鉄)に並ぶ最年少記録。セでは55年町田行彦(国鉄=現ヤクルト)の21歳を抜く新記録となる。

 ▽19年4月14日巨人戦VTR 「7番・一塁」で出場した村上は6―6で迎えた5回、5試合ぶりの一発となる決勝の右中間3号ソロを放ち、チームは首位を守った。打率1割台に苦しんでいた19歳の大砲が、日本一に輝いた97年以来22年ぶりの両リーグ10勝一番乗りに導き、故郷に明るい話題を届けた。

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