DeNAと侍“不動のストッパー”山崎の初夢 東京五輪&ペナントのダブル胴上げ投手

[ 2020年1月4日 09:30 ]

新春球界インタビュー(2)

来季の抱負「世界一の守護神」を掲げる山崎 (撮影・会津 智海)
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 東京五輪で、そしてペナントレースで優勝を決めるマウンドに――。DeNA・山崎康晃投手(27)がスポニチ本紙の新春インタビューで、侍ジャパンとチームでの胴上げ投手に向けた決意を語った。昨秋のプレミア12では優勝に大きく貢献し、シーズンでは2年連続セーブ王を獲得。不動の守護神として世界一、そして日本一と、ダブルの悲願へ突き進む。(聞き手・町田 利衣)

 ――2020年が幕を開けた。
 「今年に懸ける思いはより一層強くなっています。昨年の悔しさがあって日本一になりたいし、五輪は地元横浜開催。選ばれるように、そして胴上げ投手になれるように頑張っていきたい」

 ――昨年のプレミア12で侍ジャパンは初優勝。自身も5試合で5回無失点、3セーブで胴上げ投手になった。
 「(抑えで起用されなかった)4年前の悔しさを忘れずにやった結果、最後のマウンドに立てたし、金メダルで喜びを分かち合えた。ようやく手にできた勲章。あのうれしさを忘れず、五輪に向けてやっていきたい」

 ――チームは団結していた。
 「スーパーラウンドの前に、松田さんに言われて実家近くのドン・キホーテに日の丸ハチマキを買いに行った。なのに、なぜか松田さんも買ってきて6個くらいあって(笑い)。若手投手陣は台湾の宿舎でタピオカパーティーをしたり、非常に仲が良かったです」

 ――五輪開催は8月。苦手にしていた夏場に、昨季は改善の兆しを見せた。
 「今までだったら体が動くままに動いていたが、自分の体をコントロールするのが大事だと思った。睡眠もしっかり取らないといけないし、食事もそう。いつも夏場に体重が増えるけど、ジュースを無糖の紅茶や水にしたらすぐに3、4キロ落ちた。コンディショニングも安定したので、それはやって良かった」

 ――オフはバスケットボールなど他競技の観戦にも足を運び、刺激をもらっている。
 「アスリートが頑張る姿勢は心を動かすものがあると実感しています。僕もプロ野球選手ですけど、一人のエンターテイナーとして、球場であれだけのヤスアキジャンプを起こしてもらい、力をもらっている。どういうことで盛り上がり、力以上のものを引き出してもらえるのか、またゲームのバランスを見たり、いい勉強になっています。今はバスケ観戦にハマっていますね」

 ――プレミア12決勝には09年WBCの胴上げ投手・ダルビッシュの映像を見て挑んだ。東京五輪の最後のマウンドのイメージは。
 「プレミアの映像を見返したんですけど、あまり格好良くなかった(笑い)。でもそれだけ、自分で体がコントロールできないくらいの喜びがあった。一回経験させてもらったので、次はもっと格好良く世界一になるところをイメージしておきたいと思います」

 ――22年ぶりの優勝を目指すDeNAは、筒香がレイズに移籍。
 「言うまでもなく自覚は持っているし、プレッシャーもかかると思う。でもそれを超えて、チームとしてどう強くなるかが試されると思う。筒香さんがいなくなったから弱くなった、と言われたらいい思いはしないし、みんなそういう思いでやると思います」

 ――昨年は2位。日本一への思いは。
 「チームがどんどん強くなっていく姿を僕も少しですけど見させていただいている。昨年は本当に惜しいところまで行って悔しさも感じた。日本一になったことがないので、何とかそこまで上って目標を達成したい。そこに対する思いは強いです」

 ――プロ6年目。さらなる絶対的守護神へ。
 「昨年もそうでしたが、大事なところで負けがついたり、僕の中で印象的な部分が結構あった。そういう試合を限りなくゼロに減らすのが大事になってくる。あとは球場の雰囲気をガラッと変えられる選手になりたい。出てきたら嫌だなと思われたり、同点で出て行っても次の回で点を取れる雰囲気を促せればいいと思います」

 ――改めて、今年に懸ける意気込みを。
 「チームとしても個人としてもとてもプレッシャーのかかるポジションでやると思うので、そのプレッシャーを打破して進化していきたい。個人的にはもっと強くなって、いい選手になっていきたい。チームとして日本一を目指し、昨年の悔しさを忘れないようにやっていきたいと思います」

 《意外?ミシンで巾着袋作製》山崎はこのオフ、意外なものに挑戦していた。それはミシン。返し縫いなどを習得し、早速もの作りに挑んだ。スヌーピー柄の生地を縫い合わせること約2時間。見事に巾着袋を完成させ「やっている途中で“絶対にこんなプロ野球選手いないな”って恥ずかしくなりました」と照れ笑いした。DIYが趣味で、以前に折れたバットで靴べらを作ると、ソトから注文が入り、オフの間に完成。「次は持ち手の部分がバットになっている傘を作ろうと思っています」と、こちらもステップアップしている。

 《延長線上には夢のメジャー》山崎は昨年12月20日に行われた契約更改後の会見で、将来的なメジャー挑戦の希望を球団側に伝えていたことを明かした。海外FA権取得は最速で23年シーズンだが、ポスティングシステムの利用を容認されれば早ければ今季終了後にも海を渡る。「タイミングは一概には言えない。シーズン(20年)はベイスターズの日本一のために一生懸命頑張りたい。その延長線上に僕の夢がある」と話したが、今年が日本での集大成となる可能性もある。

 【取材後記】山崎の表情が一気に緩んだ。当インタビュー企画の第1回が広島・鈴木と聞いたときだ。「まずは結婚おめでとうですよね。でも一つ言いたいことがあって」と切り出すと「実はシーズン終盤に新幹線に乗っているところに遭遇して紹介されたんですけど、僕のこと“地元の先輩”って言ったんです。一般人みたいになってるから、せめて“ベイスターズの”って言ってほしかった」と笑い話を明かしてくれた。
 2人は東京都荒川区出身。プレミア12では侍ジャパンの守護神と4番を担った。「荒川区って北島康介さんの実家があったり、結構アスリート多いんですよ。誠也と一緒に頑張ります」と山崎。東京五輪でも「荒川区コンビ」が世界一へと導いてくれそうだ。(DeNA担当・町田 利衣)

 ◆山崎 康晃(やまさき・やすあき)1992年(平4)10月2日生まれ、東京都出身の27歳。帝京では甲子園に2年夏、3年春と出場したが、ともに控え投手。亜大3年時に日米大学野球優勝で最優秀投手。4年春にはMVPに輝いた。14年ドラフト1位でDeNAに入団。プロ5年間で通算163セーブを挙げ、18、19年と2年連続最多セーブ。1メートル79、88キロ。右投げ右打ち。

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