阪神 西 夢つなぐ奇跡再び 左足大丈夫「痛いとか言ってる場合じゃない」

[ 2019年10月13日 05:30 ]

阪神・西勇輝
Photo By スポニチ

 セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ(S=6試合制)はきょう13日に第4戦が行われる。台風19号の影響で試合がなかった12日、阪神は東京ドームで指名選手による非公開練習を実施した。

 西は身震いするような高揚感に包まれていた。敗戦はもちろん引き分けでも敗退が決まる11日の第3戦。4時間32分に及んだ宿敵との激闘の末の勝利を仲間とともにベンチ裏で見届けた。みんなが必死の思いでつないでくれたバトンを決して無駄にはしない。その重みを知るからこそ、慎重に言葉を選んだ。

 「シーズンとはまた違った高ぶりじゃないですけど、意気に感じます。こういう切羽詰まった状況でね、どれだけできるかっていうのもシーズン後半でチームが体現してきたことなので」

 意気に感じるのは当然だろう。5日のファーストS初戦で左足親指の爪に打球を受け、わずか12球で降板。1死も取れずに救援陣に後を託した。「中継ぎに迷惑をかけてしまったので、自分が投げる時は恩返しじゃないですけど、少しでも楽にさせられるように気合を入れていきたい」。負傷後は治療に努め、ブルペンで約30球の本格投球を行ったのは10日のこと。何とか決戦の舞台にこぎつけた。

 「大丈夫です。トレーナーさんにしっかりテーピングを巻いてもらい、いろいろ治療してもらったおかげで、痛みはないに等しいくらい。できる限りのことはしたので、最後は痛いとか言っている場合じゃない」

 12日に予定されていた第4戦が一日伸びたこともプラスに働く。この日は指名練習に参加。今季はオープン戦からシーズン序盤にかけ登板機会は天候に恵まれないことが多かっただけに「雨男復帰ですね」と屈託なく笑った。矢野監督も安堵(あんど)した表情で「どういう顔で投げてくれるか。笑顔は伝染するのでね。西らしいピッチングを期待している。思いきって向かっていってくれたら、それ以上は何もない」と全幅の信頼を寄せた。

 思えば、猛虎の奇跡は西から始まった。敗戦ならCSへの道が完全に途絶えた9月21日の広島戦で8回2失点の力投。崖っ縁の一戦でも信念の笑顔を貫き、6連勝の流れをつくった。

 今季、巨人戦は5試合に先発し試合はつくるが勝利には結び付かず2敗。オリックス時代を含め通算9試合登板で勝利がない。あるか分からなかった登板機会が巡り、宿敵相手の「初勝利」が大一番なら、チームにさらに勢いがつく。奇跡よ再び――。仲間の思いも背負い、白球に魂を乗せる。(吉仲 博幸)

続きを表示

2019年10月13日のニュース